2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J03307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 朝 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | Peccei-Quinn機構 / 超対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の前半は、LHCでdiphoton excessの兆候がみられたので、それに関する研究を行った。この兆候は超対称性を始め、従来研究されてきたような模型では説明するのが難しかったが、我々が従来から研究していたaxionの模型でならば説明ができることを示し、論文として発表した。 低スケールのGauge mediation模型では暗黒物質の候補が必要であるが、その最も有力なものの一つが、Strong CP問題をPeccei-Quinn機構で解決する際に現れる粒子であるaxionである。そこで、本年度の後半は、このPeccei-Quinn機構の研究を中心に行った。Peccei-Quinn機構では、アノマリーでのみ破れているU(1)「対称性」を理論に入れる必要がある。シータ角の測定より、この対称性は極めてよい対称性でなくてはならないが、すでにアノマリーで明示的に破れているのにもかかわらず対称性として正確であるというのは極めて不自然であり、またプランクスケールの物理とも相容れない可能性があると従来より指摘されている。これをPeccei-Quinn機構のquality問題という。Peccei-Quinn機構を考えるにはこのquality問題を解決しなくてはならないが、従来あまり真剣に検討されてきてはいなかった。そこで、我々はゲージ対称性を使ってPeccei-Quinn対称性を保護することを考えた。ゲージ対称性は定義からして破れないので、qualityを保つのが簡単になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは若干異なるものの、重要な問題であるPeccei-Quinn機構とその成り立ちについて考察を深めることができた。また、加速器における解析などの現象論的な物理の研究も行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
未だLHCで何らの兆候も見つかっていないことを考えれば、模型をただ構築するだけでなく、LHCならばどのような解析を行うとより新物理に近づけるか、あるいはどのような新しい実験がありうるかを考えることが重要である。したがって、次年度以降は以上のような点も考えながら研究を行っていく。
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Research Products
(3 results)