2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J03311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝亦 佑磨 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 志向性の自然化 / 目的論的機能主義 / 目的論的意味論 / ドレツキ / ミリカン / 進化 / 学習 / 心の哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はドレツキによる学習に基づく表象論はミリカンによる進化に基づく表象論とほんとうに異なるものであるのかどうかという問題を検討し、学習に基づく理論を支持する積極的な意義があるのかどうかという点を検討した。 研究の結果、次のようなことが明らかになった。まず、ドレツキの学習に基づく表象論の特徴のひとつは、学習によって獲得される表象メカニズムが生み出す表象を、「暗黙の信念」と「明示的な信念」の二つに分類しているという点である。前者はネズミやハトの持ちうるような、特定の行動のみに用いられる原始的な心的状態のことであり、後者は人間の持つような、別の心的状態と複雑なネットワークを構成し多様な行動を生み出しうるような心的状態のことである。だがドレツキはこうした区別をしつつも、いかにして学習によって暗黙の信念が明示的な信念に変化しうるのかという点を説明していないという点が明らかになった。ドレツキが学習理論によって説明しているのはせいぜい、いかにしてたんなる内的状態が暗黙の信念に変化しうるかという点にすぎない。しかもこうした学習による理論は、ある表象メカニズムの選択過程による説明であるという点においては進化による理論と本質的な差はなく、その意味においてドレツキは学習に基づく表象論の独自性を主張しきれていないということが明らかになった。 だが、ドレツキが暗黙の信念がいかにして学習を通じて明示的な信念になりうるのかを説明できていないとしても、ほんとうにそのようなことを説明する必要があるのかどうかという点は問題として残った。というのも、ミリカンのような進化に基づく表象論もまた、原始的な表象と人間の持つような複雑な表象の区別をしている一方、いかにして前者が後者になりうるのかという点には説明を与えていない可能性があるからである。本年度はこうした問題に関しては十分に検討しきれなかった。今後の課題としたい。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)