2017 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子の空間分布制御を実現する新規粒子配列体の創成
Project/Area Number |
16J03375
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡部 花奈子 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ材料 / ラトル型粒子 / 可動性コア / 電場応答性 / 粒子配列体 / 金ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、粒子内部の配列構造を交流電場によって制御することができる新規粒子配列体の創成を目的としている。粒子配列体の構成要素としては、中空粒子内部に可動性金ナノ粒子を内包した「金ナノ粒子内包型ラトル型粒子」を用いる。本粒子形態であれば、金ナノ粒子同士の凝集を抑制でき、さらに電場により粒子内部で金ナノ粒子のランダム分布⇔規則構造を可逆的に制御することが可能になる。また、金ナノ粒子は表面プラズモン現象に由来した光学特性やセンシング特性を示すことが知られている。これらの特性は金属ナノ粒子が接近した際に劇的に変化するため、プラズモン特性制御のためには粒子同士を集める手法が有用である。 本年度はまず、金ナノ粒子懸濁液に外部交流電場を印加することで粒子同士を液中で集積させ、プラズモン特性を制御することを試みた。同粒子懸濁液に種々条件の交流電場を印加したところ、光学特性の変化は低周波数、高電場強度域で顕著に見られた。また、高周波数の電場を印加作用下において粒子のセンサー特性が向上した。以上の結果から、金ナノ粒子の集積状態は交流電場印加により制御可能であり、プラズモン特性は粒子集積状態と強い相関があることがわかった。 金ナノ粒子内包ラトル型粒子は、金ナノ粒子をシリカシェルで被覆した後、シリカシェル内部のみを選択的に溶解させることで合成した。液中で観察可能な電子顕微鏡を用いて内包金ナノ粒子の運動を評価したところ、金ナノ粒子が中空粒子内部を自由にブラウン運動する様子を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、金ナノ粒子懸濁液に種々条件の交流電場を印加し、ナノ粒子の集積状態制御を試みた。光学特性およびセンシング特性の評価から、粒子集積状態と金ナノ粒子のプラズモン特性には強い相関があることを明らかにした。また、本研究の対象粒子となる金ナノ粒子内包ラトル型粒子の合成および内包金ナノ粒子の可動性評価を行った。金ナノ粒子がシリカシェル内で分散状態にあるということは、金ナノ粒子の特性をナノスケールの制限空間内に閉じ込めることに成功したことを意味している。液中で観察可能な電子顕微鏡を用いて金ナノ粒子を観察した結果、同粒子が中空粒子内部をブラウン運動する様子を確認した。金ナノ粒子の可動性評価は本年度の達成目標の一つであり、得られた観察結果は本研究を大幅に進展させることができた。金ナノ粒子、金ナノ粒子内包ラトル型粒子の光学特性がほぼ等しくなったことからも、中空粒子内に単一の金ナノ粒子が分散状態にあることを確認した。また、同ラトル型粒子においてもセンシング特性が発現することがわかった。今後は交流電場印加により同粒子の液中における集積構造制御および電場作用・解除状態でのプラズモン特性評価を試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
光学特性の制御およびセンシング特性向上のために、中空粒子内に複数の金ナノ粒子を内包したラトル型粒子の合成およびその特性評価を行う。また、数値計算により理論的に設計したシリカシェル厚のラトル型粒子の合成に取り組む。ラトル型粒子を交流電場印加により集積化することで内包金ナノ粒子同士を接近させ、プラズモン特性が変化するかどうかを検証する。また、シリカ外殻を基板に固定化させるなどして集積させた粒子配列体に対して電場印加実験を行い、内包金ナノ粒子が接近する電場印加条件を見出す予定である。
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