2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J03451
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 翔一 九州大学, 大学院薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 心疾患 / 線維化 / 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋梗塞や心肥大などの心疾患時には、虚血や圧負荷などのストレスにより多くの死細胞が生じる。この死細胞からの細胞内容物の漏出が原因となって、病理的な炎症応答が惹起される。この炎症を契機として、骨髄細胞や常在性の線維芽細胞、内皮細胞など様々な細胞から筋線維芽細胞が分化・増殖する。この筋線維芽細胞はコラーゲンなどの細胞外マトリックスを産生することで組織の線維化を亢進する細胞として知られている。過剰な線維化は、組織の機能不全を引き起こす。しかしながら、線維化の実行細胞である筋線維芽細胞の性質には未だ不明な点が多い。特にそれぞれの細胞から筋線維芽細胞への分化のメカニズムは、多くの部分が謎に包まれている。そこで本研究では、筋線維芽細胞の分化に関与する因子を探索することを目的とした。これまでに、我々は筋線維芽細胞の線維化関連因子の発現量が変化する培養条件を見出し、さらにこの培養条件下で発現量が変化する、筋線維芽細胞の分化制御に関わる可能性のある複数の候補分子を同定している。本年度は、この候補分子を、心疾患モデルマウスの心臓から単離した筋線維芽細胞に遺伝子導入し、線維化関連因子の発現量が変化するかについて検討した。その結果、全ての候補分子を遺伝子導入することで、線維化関連因子の発現量が変化する細胞群が出現することを見出した。さらに、その出現した細胞群をセルソーターで分取し、ゲノム内に組み込まれた遺伝子をダイレクトシーケンスによって解析することで、候補分子の中から筋線維芽細胞の分化制御に必須な因子群を絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究によって、我々は、心疾患時に生じる筋線維芽細胞の分化制御に必要な因子群を同定した。現時点ではおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定した因子群を筋線維芽細胞に発現させ、実際に筋線維芽細胞の分化状態に与える影響について詳細に検討していく予定である。
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