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2016 Fiscal Year Annual Research Report

高速シーケンサーを用いたコムギ遺伝子の迅速単離法の開発

Research Project

Project/Area Number 16J03477
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

西嶋 遼  神戸大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2016-04-22 – 2018-03-31
Keywordsタルホコムギ / 合成パンコムギ / 雑種生育不良 / RNA-seq / BSA / 高密度連鎖地図
Outline of Annual Research Achievements

パンコムギは、ABゲノムからなる栽培二粒系コムギに、Dゲノムをもつ2倍体野生種であるタルホコムギの花粉が交雑して成立した異質6倍体で、これを人為的に再現したものは合成パンコムギと呼ばれる。タルホコムギは豊富な自然変異を集団中に抱え、実際のパンコムギ育種にも利用されてきた。しかし、二粒系コムギとタルホコムギの雑種世代で、遺伝的要因による様々な生育不良がみられることが知られていて、このような生育不良はタルホコムギ有用遺伝子の育種利用を阻んでいる。本研究では、タルホコムギのRNA-seq解析に基づくSNPデータセットの整備と、これらの原因遺伝子の同定および連鎖マーカーの開発を目的とした。
コムギのような巨大かつ複雑なゲノムをもつ生物において、RNA-seqはゲノムワイドにSNPを探す上で効果的である。本年度は、210系統のタルホコムギコアコレクションから種内変異を包括するように10系統を選び、幼苗の葉のRNA-seq解析を行った。de novoアセンブルの結果、各系統につき33,680から65,827の転写産物が得られ、系統間の比較から平均28,594のSNPが検出された。これらのSNPはゲノム全体を網羅するように配置され、タルホコムギ系統や合成パンコムギ系統の分離集団に関する連鎖解析においても有効であったことから、連鎖地図作製の迅速化に貢献できると考えられる。
二粒系コムギとタルホコムギの特定の系統間での雑種世代でみられる生育異常は、ABゲノムとDゲノムのそれぞれに座乗する原因遺伝子間の相互作用により引き起こされると考えられている。原因遺伝子の1つであるNet2の単離に向けて、遺伝子座周辺領域の高密度連鎖地図の作成を目的に、RNA-seq-based BSA (Bulked Segregant Analysis)を行った。その結果、実際にNet2領域にマップされるSNPが1つ検出され、合成パンコムギにおいてもRNA-seq-based BSAが機能し、連鎖マーカー開発に有用であることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り、合成パンコムギのRNA-seq-based BSA解析を進めた。雑種生育異常を示す合成パンコムギ系統と正常な表現型を示す系統とのF2集団に由来し異なる表現型を示す個体のバルクRNAと合成パンコムギの親となった二粒系コムギおよびタルホコムギ系統のRNAについて、Illumina MiSeqによるRNA-seq解析を実施した。転写産物モデルに対するRNA-seqリードのアライメント、多型の抽出、SNP-index値の計算を行い、原因遺伝子領域に連鎖する可能性の高いSNPを抽出した。また、これら一連の工程をパイプライン化することで、翌年度以降の別サンプルの解析にもすぐに利用できるようにした。連鎖マーカーの開発という目標は達成できたものの、単一の解析方法しか試せておらず、各段階の閾値やhomoeologueの区別など、検討すべき点がいくつか残っている。タルホコムギ10系統のRNA-seq解析では、染色体1本あたり平均で4,000のSNPが得られ、その分布に大きな偏りも見当たらず、実際の連鎖解析でも利用できたことから、タルホコムギや合成パンコムギの解析に有用なデータセットを提供できたと考える。以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。

Strategy for Future Research Activity

2016年度はタルホコムギ10系統のRNA-seq解析を行い、分子マーカーの作製に有効な多型情報を整備した。2017年度はコアコレクションの残る200系統についても同様に解析し、SNPデータセットを拡充する。この情報を用いてSTRUCTURE解析を行い、タルホコムギの集団内遺伝構造を再評価するとともに、イランのパンコムギ在来品種数系統についてもRNA-seq解析を行い、パンコムギ成立にかかわったタルホコムギ系統に関する知見を得る。また、SNPデータと27の形質データとを突き合わせてGWA解析を行い、タルホコムギの形態変異に関与する遺伝子群の単離を試みる。
前年に実施した合成パンコムギのRNA-seq-based BSAに関しては、サブゲノムの区別やSNP-index値の計算について別の解析方法をいくつか試した後、それらの結果をまとめて論文を執筆する。帯白性など他の形質に関するタルホコムギ分離集団においてもRNA-seq-based BSAを実施して高密度連鎖地図を作製し、その有用性を評価する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Genome-wide identification of novel genetic markers from RNA sequencing assembly of diverse Aegilops tauschii accessions2016

    • Author(s)
      Ryo Nishijima, Kentaro Yoshida, Yuka Motoi, Kazuhiro Sato, Shigeo Takumi
    • Journal Title

      Molecular Genetics and Genomics

      Volume: 291 Pages: 1681-1694

    • DOI

      10.1007/s00438-016-1211-2

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 合成パンコムギへのRNA-seq-based BSAの適用2016

    • Author(s)
      西嶋遼、坂口晃平、吉田健太郎、佐藤和広、宅見薫雄
    • Organizer
      第11回ムギ類研究会
    • Place of Presentation
      岡山大学 資源植物科学研究所(岡山県・倉敷市)
    • Year and Date
      2016-12-10 – 2016-12-11
  • [Presentation] タルホコムギの新規帯白性変異の遺伝分析2016

    • Author(s)
      西嶋遼、田中稚紗、吉田健太郎、宅見薫雄
    • Organizer
      日本育種学会第130回講演会
    • Place of Presentation
      鳥取大学(鳥取県・鳥取市)
    • Year and Date
      2016-09-24 – 2016-09-25
  • [Remarks] 神戸大学大学院 農学研究科 植物遺伝学研究室

    • URL

      http://www.lab.kobe-u.ac.jp/ans-plantgenetics/

URL: 

Published: 2018-01-16  

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