2017 Fiscal Year Annual Research Report
屋外熱環境設計のためのデザインランゲージを用いた都市高温化緩和手法の体系化
Project/Area Number |
16J03661
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横山 真 広島大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 都市高温化 / 数値シミュレーション / 谷戸 / 海風 / 都市環境計画 / 地球シミュレータ / MSSG |
Outline of Annual Research Achievements |
現段階で本研究は主に①温熱環境の実測調査、②市域スケールの数値シミュレーション、③地区スケールの数値シミュレーション、④専門家協働のワークショップによるガイドラインの作成、の4つから構成される。平成29年度は②、③を主に実施した。それぞれの概要を以下に示す。 ②市域スケールの数値シミュレーション:水平解像度を100mの数値シミュレーション結果を入力条件としたクラスター分析により横浜市を5つのゾーンに分類し、ゾーンの形成に海岸線からの距離に加えて微地形の影響が反映されることを明らかにした。丘陵地が都市化され、微地形の影響が都市熱環境に与える影響が大きいと考えられる横浜市では都市気候の観点からゾーニングを行う場合に100m解像度のような高解像度の数値シミュレーションが有効であることが明らかとなった。 ③地区スケールの数値シミュレーション:横浜市の典型的市街地として沿岸部の関内・関外地区、内陸部の仏向町周辺地区を選定した。関内・関外地区では午前中に吹く東京湾からの海風の活用が有効と考えられる。結果として海岸線からの距離に対して気温は正の相関、風速は負の相関が見られ、海風の効果は海岸線から徐々に減衰する。一方で地区内の河川周辺でも気温低減が見られ、河川の風の道効果が明らかとなった。また河川の効果範囲は形状に影響され、一律に河川からの距離に依らないことが定性的ではあるが示唆された。仏向町周辺地区は谷戸と呼ばれる小規模谷が多く存在し、比較的緑地が残っている市街地である。分析の結果、谷戸内部では丘陵上部に比べて風速が弱く、また熱が溜まりやすいため、周辺緑被率が高くても高温化することが示唆された。また風上側の丘陵上部の建物の存在が谷戸内への風の導入を促すことが推察され、地区全体での建物コントロールにより都市熱環境を改善してく必要が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の「今後の研究の推進方策」に記載した①市域スケールの数値シミュレーションの精度向上、②各ゾーンの市街地における高解像度数値シミュレーションを予定通り実施し、また分析の結果、当初の研究計画にはなかった丘陵都市ならではの微地形影響および谷戸市街地を対象に含めることができた。そのため、「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は①横浜市の典型的市街地の都市熱環境の総合評価、②専門家協働ワークショップの実施を行う。具体的な実施内容は以下の通りとする。 ①横浜市の典型的市街地の都市熱環境の総合評価:現在、市域スケールの数値計算結果をもとに都市熱環境と各要因と関連分析を個別に行っているため、多変量解析等を用いて都市熱環境の総合評価を行い、各要因の相互関係を含めて分析する。 ②専門家協働ワークショップの実施:市域スケールと地区スケールの数値計算結果をもとに横浜市の気候特性および自然環境資源の活用方針を地図化・リスト化し、それを提供情報とした都市気候と都市計画の専門家による協働ワークショップを行う。これにより対象地の自然環境資源を活用した都市づくりに必要な計画的対策を抽出する。
|