2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J03662
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 峻 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 混合微分 / 発展方程式 / 収束解析 / 微分代数方程式 / 離散勾配法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度研究していた「混合微分を含む発展方程式に対する数値解法の研究」に関する論文をまとめ,現在投稿中である.この研究では,発展方程式 (時間発展型の偏微分方程式) において,混合微分 (=時間微分と空間微分が混合した項) が現れる際に,通常の発展方程式に比べて格段に扱いが難しくなることを指摘し,その解析的,数値的な取り扱いの一般論を展開した.この論文は多くの論点を含むため,各種の研究集会にて適した部分を取り上げて発表を行った. 上記の研究を遂行する中で,混合微分を含む発展方程式に対する数値解法の収束性 (数値解が厳密解に収束すること) の証明が非常に困難であることが判明した.数値解法の収束証明は,数値解析において非常に重要であるため,「混合微分を含む発展方程式に対する数値解法の収束証明手法」を開発すべく,modified Hunter-Saxton 方程式を例として取り上げ収束証明を行った.現状では,1つの方程式に対するある有限差分法の収束証明に過ぎないが,その際に導入した手法は混合微分を含む発展方程式の広いクラスに対して適用できるため,今後このクラスにおける標準的な収束証明手法となることが期待される.上記の結果に関して論文をまとめ,現在投稿中である. 上記のような混合微分をもつ発展方程式は無限次元版の微分代数方程式(微分方程式と代数方程式の組合せ)と見なすことができる.このクラスの発展方程式は多くの場合保存量をもつため,保存量を保つ数値解法が各種研究されてきたが,実は微分代数方程式に対する保存的な数値解法の枠組が存在しないために,既存研究では個別の構造を利用して数値解法が構築されてきた.そこで,本研究では,そのような枠組の構築を目指して,「微分代数方程式に対する離散勾配法」の研究を行い,その成果の一部を学会で報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 前年度の成果のとりまとめおよび,新たなトピック2件についての研究をまとめることができた.研究計画時に予定していた研究の方向性とは若干異なるが,研究が進展してない分野に切り込んで一定の成果を出すことができたので,概ね順調に進行していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度研究した「微分代数方程式に対する離散勾配法」の成果をとりまとめ,論文を投稿する予定である.また,本年度の研究を踏まえて,偏微分方程式理論の金字塔である加藤理論の数値解法における類似物の構築に向けた研究を開始する予定である.
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Research Products
(10 results)