2018 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン共役電子移動を利用した高活性ニッケル(II)水素生成錯体触媒の開発と展開
Project/Area Number |
16J03771
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柴 慧太 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 錯体 / 触媒 / 電気化学 / 水素発生 / プロトン共役電子移動 / DFT計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、電気化学的な水素生成反応におけるプロトン共役電子移動(PCET)の役割に注目し、配位子へのPCETを高速に進行させるニッケル錯体触媒の開発を推進してきた。本年度は第一著者として2報論文を出しており、本研究分野の発展に大きく貢献した。 1つ目の論文では、以前我々が報告したニッケル錯体触媒[Ni(dcpdt)2]2-の詳細な反応機構をDFT計算を駆使して明らかにした。[Ni(dcpdt)2]2-は二段階の逐次的な配位子中心PCETによって2電子還元3プロトン付加種を生成し、その後分子内PCET(1H+/1e-)によってニッケル(III)ヒドリド種を形成した後、発熱的に水素を生成することを、遷移状態計算などを用いて詳細に解明した(K. Koshiba. K. Yamauchi, K. Sakai, Dalton Trans. 2019)。 2つ目の論文では、これまであまり着目されてこなかったヘテロレプティックなジチオレンニッケル錯体触媒に注目し、その水素生成触媒機能について調査を行った。その結果、別途合成したホモレプティック錯体と比較して、ヒドリド形成の際のプロトネーション速度が大きく異なり、その影響によってヘテロレプティック錯体触媒の方が低下電圧で触媒駆動することを明らかにした。DFT計算によって、この違いはヒドリド錯体のpKa即ち反応前後の熱力学的差異によるものではなく、還元種のSOMOのニッケル中心周辺の分布の違いが速度論的に影響していることを解明、配位子中心還元型のPCETにおける中心金属の寄与を初めて発見した(K. Koshiba, K. Yamauchi, K. Sakai, ChemElectroChem, 2019.)。 以上のように、申請者の本年度の研究進捗状況は、期待通りに進展した。
|
Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(7 results)