2016 Fiscal Year Annual Research Report
世界環境産業連関表に基づく構造階層型分解法を用いた二酸化炭素排出変化の要因分析
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16J03790
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白新田 佳代子 九州大学, 経済学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 産業連関表 / 産業構造の変化 / 気候変動 / サービス経済化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、1国単位で物質・サービス投入構造の変化がライフサイクルCO2 排出量に与える影響について世界40ヵ国を対象に研究を行った。 具体的には、世界40 ヵ国の接続産業連関表データ(World Input-Output Database)を1 国レベルでの構造階層型の構造分解分析フレームワークに適用し、当該国の製造業とサービス業に関する物質・サービス投入構造(サプライチェーン)の変化がライフサイクルCO2排出量に与える影響について構造分解分析を時系列的に行い、 再・脱物質化の観点から世界各国の構造変化が地球温暖化に果たす役割について考察を行った。その結果、国ごとに特徴的な投入構造を抽出し、生産セグメントごとのCO2排出の影響を定量的に評価することに成功した。そして各国がCO2排出を削減する上でどの生産セグメントに着目すべきかを明らかにし、本研究は今後の気候変動政策を決定する上で非常に重要である。本研究で得られた成果は、International Input-Output Conference、the Joint conference of the International Society for Industrial Ecology (ISIE) 12th Socio-Economic Metabolism section conference and 5th Asia-Pacific conference、EcoBalance学会、環太平洋産業連関分析学会で発表を行っている。さらにこれまで明らかになっていなかった各国の経済発展レベルと各国の製造業・サービス産業の物質投入構造の変化に伴うライフサイクルCO2排出量への影響量の関係性について得られた結果によるパネルデータを持ちお手詳細な検討を開始し、上記の発表内容に加え、新たな考察を加味した論文を現在執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、二酸化炭素排出変化の要因について世界各国の経済全体の中間投入構造に着目し研究を行っており、各国の特徴的な投入構造を抽出、およびその二酸化炭素排出に与える影響を評価することができた。本分析結果は最終需要構造や輸入構造の分析を行う土台して次年度の研究につながり、産業構造の変化が二酸化炭素排出に及ぼす影響をより包括的に評価することが可能となる。本研究に基づく論文はまだ刊行されていないが、現在投稿を目前としており次年度の研究業績につながると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、現在までは国内の産業構造の分析にとどまっていたので、世界産業連関表に基づいて最終需要構造や輸入構造の分析に取り掛かり、より詳細にグローバルなCO2排出量を削減するための支援策を検討することである。本研究成果は、国内外の学会において積極的に公表していく。また現在取組んでいる英語論文の刊行に全力を尽くす所存である。
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Research Products
(6 results)