2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞から肺胞上皮細胞への分化誘導手法を応用した、肺癌幹細胞の同定の研究
Project/Area Number |
16J03807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 貴宏 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、ヒト臨床検体より肺癌細胞を複数株培養・株樹立を行う事ができた。また、治療抵抗性細胞モデルの樹立の実験系も、予定通り実験系を構築することができた。しかし、肺胞上皮細胞の分化誘導の手法をトレースしソーティングを行ったが、癌幹細胞性質のフェノタイプを確認することが難しく、以下の方向に若干軌道修正をおこなった。 ①肺胞上皮細胞の分化誘導に重要な因子の肺癌における役割は不明であるので、その機能解析を行う。 ②そのほかの癌幹細胞の抽出の因子を分化誘導の観点から考える。 ①については、CRISPR-Cas9を用いて複数の肺癌細胞株(H2228, HCC827)から主要な因子のノックアウト細胞を樹立、またノックアウト細胞にその因子を強制発現させ、レスキュー細胞を樹立した。現在幹細胞性質の変化やその他のフェノタイプを解析中である。現時点で、当該因子のノックアウト細胞ではin vitroでの腫瘍形成能が高まること、薬剤に対して治療抵抗性の性質を持つこと、が確認されている。In vivoでの検討はこれからであり、引き続きこれらについて継続研究の予定である。②についても、治療抵抗性細胞から得た癌幹細胞様のフェノタイプを持つ細胞株を複数樹立したため、これらのRNA、蛋白レベルの発現解析から、複数の細胞系統で共通して発現している因子がいくつか同定されたため、これらについても癌幹細胞との関連が想定されるという仮説のもと、引き続き解析の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト臨床検体より肺癌細胞を複数株培養・株樹立に成功し、肺胞上皮細胞の分化誘導の手法をトレースしソーティングを行ったが、癌幹細胞性質のフェノタイプを確認することが難しく、実験の計画を変更しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
①肺胞上皮細胞の分化誘導に重要な因子の肺癌における役割は不明であるので、それも検討する方向でも並行して行う。②そのほかの癌幹細胞の抽出の因子を分化誘導の観点から考える。①については、CRISPR-Cas9を用いて複数の肺癌細胞株から主要な因子のノックアウト細胞を樹立、またノックアウト細胞にその因子を強制発現させ、レスキュー細胞を樹立した。現在幹細胞性質の変化やその他のフェノタイプを解析中である。②についても、治療抵抗性細胞から得た癌幹細胞様のフェノタイプを持つ細胞株を複数樹立したため、これらの発現解析から、有望な因子がいくつか同定されており、引き続き解析の予定である。
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