2016 Fiscal Year Annual Research Report
新たな数学的手法を用いたストリング・ゲージ理論における可解性の探求
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16J03820
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
朱 睿東 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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| Keywords | AGT予想 / ５次元ゲージ理論 / トポロジカルストリング / Ding-Iohara-Miki代数 / W代数 / 可解性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
過去の一年間は主に基礎知識の勉強に専念した。昨年度に始まったプロジェクトで本年度中に論文も出した仕事はいわゆる５次元版のAGT予想に関するものである。この５次元版の予想は通常の４次元N=2超対称性ゲージ理論と２次元共形場理論をq-変形したものに当たる。つまり、２次元理論のq-変形に対応し、4次元理論は５次元理論をS1コンパクト化したものに持ち上げられる。この予想はDing-Iohara-Miki代数を使えば、証明できるが、物理的な理解はなかなか難しいものである。通常のAGT予想の一番受け入れられている物理的な説明は4次元N=2理論の一族として、いわゆるClass S理論は６次元の超対称共形場理論、N=(2,0)理論を２次元リーマン面上にコンパクト化して得られたもので、二次元面上の理論と対応関係を持つのは非常に自然であろう。しかし、この描像の５次元版のAGTに自然な拡張が知られていない。
このギャップを埋めるために、今年度の前半に渡って、４次元N=2理論を基礎からしっかり勉強した。特にClass S理論の作り方とその２次元理論での解釈への理解はだいぶ進んだ。
その後Awata-Feigin-Shiraishiのtopological vertexをDing-Iohara-Miki (DIM)代数に埋め込む仕事の解読が進んだので、前に勉強したtopological stringとゲージ理論との対応関係を使って、そのマップのDIM版を作ってみた。年末に近づいた頃にようやく非自明なChern-Simons levelの計算を理解した。その後順調に我々の一つ前の仕事がこの枠組みに収まり、共同研究が展開され、前にできなかったA_3型quiver gauge理論のqq-characterの計算もこの新たな枠組みでは計算できることがわかり、論文にまとめて、３月末にarXivに投稿した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AdS_3/CFT_2の可解性をある程度理解しようともしていたが、意外と難しくて進まなかった。Gaberdiel-Gopakumarのチームが大変な計算でやっと少し可解性が見えやすいMaulik-OkounkovのYangian代数とホログラフィーで使いやすい通常のW代数のマップを作り出したが、重力側で可解性はどう現れてくるかはまだ全くわからない。Gaberdiel-GopakumarのチームはYangianをさらに超対称化をして、AdS_5/CFT_4からのreductionとして可解性を理解しようとするアプローチを取っているが、なかなか難航のようである。その代わりに、AdS_3/CFT_2をトポロジカルストリングのopen/closed dualityとして理解できる可能性をAGT予想が示唆しているので、Yangian代数のq変形とトポロジカルストリングの関係をはっきりさせた方が効率的かもしれない。実際Maulik-OkounkovのYangian代数のq変形は可解性を保持するまま、いろんな面白い現象をもたらす。今はこの迂回経路を取っていて、今年度の研究でq変形バージョンの可解性への理解がかなり進んだと思う。
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| Strategy for Future Research Activity |
最近の研究でトポロジカルヴァテクス的な計算法で従来実現できないD型のquiverゲージ理論が構成できることに気付いたので、しばらくはその延長線上で研究を進めてみる。同時進行しているR行列の研究も少しずつ理解が前進しているので、可解性の物理的意味を理解したい。特に最近の名古屋のグループが提案した理論で、可解系で重要なT行列はtopological vertexと深い関連を持っているようで、そこの詳細を詰めて、できればtopological stringのopen/closed dualityで理解する。
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