2016 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスと日英同盟 1894‐1930年 ―帝国防衛と英米協調の相克―
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16J03952
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅原 健志 京都大学, 公共政策大学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / イギリス / 日英同盟 / アーサー・バルフォア / 帝国防衛 / 英米協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はイギリスの日英同盟に対する外交政策を、帝国防衛と英米協調の観点から実証的に解明することを目指している。本研究では特にイギリスの政治家アーサー・バルフォアに着目し、さらに日英同盟廃棄後の日英同盟復活論も分析の対象に加えることで、より包括的なイギリス外交の実像を明らかにすることを目的としている。 本年度の研究計画は、年度の前半は先行研究の確認と公刊史料の調査、後半は未公刊史料の収集および分析に注力するというものであった。まず年度前半の先行研究の確認については、1920年代のイギリス外交を中心に研究書の精査を進めた。次に公刊史料の調査に関しては、イギリスの公刊史料の分析に着手し、特に1920年代の史料の分析に進展が見られた。最後に年度後半の未公刊史料の収集および分析については、ロンドンの大英図書館にあるバルフォア文書を主に調査し、現在の研究テーマに必要と考えられる史料はほぼ収集できた。また同じく大英図書館においてカーズン文書の収集も行った。これらの収集した文書の分析については、日英同盟が廃棄されるまでの史料に関して分析がかなり進んでいる。 研究計画にある通り本年度は史料調査が中心となり、研究発表を行う機会は多くなかった。しかしながらThe Encyclopedia of Diplomacyという外交に関する百科事典の編纂に関与することとなり、Anglo-Japanese Alliance(日英同盟)とShidehara Kijuro(幣原喜重郎)の二項目を執筆することになった。これらの執筆においては特に日英同盟の廃棄に対する日本とイギリスの対応の違いを強調している。二つとも掲載が決定しており、来年度には出版されるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現在までの進捗状況としては、まず年度前半に行う予定であった先行研究の確認がほぼ完了している。また公刊史料の調査についても、イギリスの公刊史料については計画通りに進んでいる。そして年度後半の未公刊史料の収集・分析に関しては、研究の中心である大英図書館のバルフォア文書の収集がほぼ完了し、分析も相当程度進展している。 以上より本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度後半の未公刊史料の収集・分析をさらに継続していく予定である。特にイギリスにおいて私文書だけでなく公文書も幅広く収集するとともに、アメリカでの史料調査も実行することを考えている。 また来年度はそれらの史料収集・分析から得られた成果を日本およびイギリスの学会などで積極的に発表する。そして論文および研究書の執筆を進めていく予定である。
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