2016 Fiscal Year Annual Research Report
有糸分裂を乗り越えて遺伝子発現パターンを復元する転写制御機構の解明
Project/Area Number |
16J04091
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 秀文 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(PD) (00793770)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 遺伝子発現 / 有糸分裂 / 細胞同調 / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の目的は、有糸分裂期の転写活性および転写因子のクロマチン結合状態の解析であった。そのためにまず、ES細胞における効率的な細胞周期同調法の確立を目指した。細胞周期同調法には様々な方法があるが、本研究で使用しているR11細胞では、短時間のNocodazole処理とシェイクオフ法を組み合わせた方法が最も効果的であることがわかった。一方で、チミジンやRO3306を用いた方法は効果的ではなかった。Nocodazoleを用いた方法で単離した有糸分裂期細胞は、Nocodazoleを除去することで再び細胞周期の進行を開始することが確認され、一連の条件検討により目的のフェーズのES細胞を得ることが可能となった。 Nocodazoleを用いた方法で有糸分裂期の細胞のみを単離して、新規合成RNAの解析とChIP解析を行った。その結果、有糸分裂期前期には新規のRNA合成量が激減し、有糸分裂期後期からG1期にかけてRNA合成レベルが回復していく様子が観察された。また、ChIPの結果から、多くの転写因子はクロマチンから解離することを示すデータが得られた。これらの結果は、これまでに報告されている結果と一致する。しかしながら、有糸分裂期にも例外的に転写活性を維持する遺伝子が存在している可能性がある。こうした遺伝子を探索するためには4sU-RNA-seqによる網羅的な解析が必要であり、現在解析に向けた準備を進めている。ChIPについても同様に、ChIP-seq解析を行うためのサンプルを調製している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度中に網羅的解析を行うには至らなかったため多少の遅れは生じているものの、おおむね予定していた通りの解析に着手することができ、期待していた結果を示唆するデータが得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在準備しているサンプルを用いて、網羅的解析のためのライブラリを作製し、網羅的解析を行う。4sU-RNA-seq解析から、有糸分裂期に遺伝子発現を維持する遺伝子が存在しているかどうかを調べる。そうした遺伝子が発見された場合には有糸分裂期に遺伝子発現を可能にする特異的なヒストン修飾状態やクロマチン構造、転写因子の結合状態などを明らかにしていく予定である。また、ChIP-seq解析の結果から、有糸分裂期にクロマチン結合を維持する転写因子が存在するかどうかを調べる。有糸分裂期にクロマチン結合を維持する転写因子にデグロン配列を付加させることで有糸分裂期特異的な分解を引き起こし、その後の細胞増殖や細胞分化への影響を調べ、有糸分裂期にクロマチン結合活性を維持することの生理学的意義の解明を目指す。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] TBP-like Protein (TLP) Disrupts the p53-MDM2 Interaction and Induces Long-lasting p53 Activation.2017
Author(s)
Maeda, R., Tamashiro, H., Takano, K., Takahashi, H., Suzuki, H., Saito, S., Kojima, W., Adachi, N., Ura, K., Endo, T., and Tamura, T.
-
Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 24
Pages: 3201-3212
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-