2016 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻害治療の盲点:大腸がん細胞の新たな環境適応機構の解明
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16J04163
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
冨田 知里 徳島大学, 大学院栄養生命科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 大腸がん細胞 / VEGF受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、大腸がん細胞が発現するVEGF受容体システムの本質的な役割の解明を目指し研究を行っている。これまでの検討で、種々のVEGF受容体マルチキナーゼ分子標的阻害薬(sunitinib, regorafenib, foretinib, KRN633)により、大腸がん細胞に発現する「VEGF/VEGF受容体システム」が破綻すると、細胞死抵抗性と遊走・浸潤能が亢進することを明らかにしてきた。 本年度は、種々の培養大腸がん細胞株において、VEGF受容体(VEGF-R1~R3)のうちどの受容体がVEGFモニター分子として機能しているかの同定を行った。まず、各受容体サブタイプに対する特異的抗体を用いたFACS解析およびイムノブロット解析により、VEGF-R1とVEGF-R3が発現していることが解った。次に、各VEGF-Rに対する特異的阻害剤(中和抗体、受容体アンタゴニスト、可溶型受容体リコンビナント蛋白質、低分子キナーゼ阻害剤)を用い、Boyden chamber法により、運動能と浸潤能の活性化を、TUNEL法によりアポトーシス抵抗性を指標に責任受容体の同定を試みた。用いたすべての阻害剤で、VEGF-R1およびVEGF-R3を阻害すると、運動能・浸潤能の活性化とアポトーシス抵抗性が異なる程度で誘導された。VEGF-R2の阻害剤ではこのような活性化は見られなかった。次に、VEGF-R1およびVEGF-R3を阻害した時に活性化・不活性化する膜受容体を網羅的に探索するために、チロシンキナーゼ型受容体抗体アレイおよびイムノブロッティング法を用いて検討した。その結果、VEGF-R1を阻害した時に特異的に変動している膜受容体2種類と、VEGF-R3を阻害した時にだけ変動する膜受容体2種類を見出した。現在、これら膜受容体群の個々の役割解明を目指した解析を進めている。また、NRP1を中核とした「受容体スイッチング」の分子基盤を明らかにするため、抗NRP1抗体を用いた免疫沈降と種々のイムノブロッティング法により、NRP1と相互作用している膜受容体分子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画したと全ての実験計画は完了し、得られた実験成果を現在英文論文としてまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に同定した、VEGF-R阻害時にNRP1と相互作用している分子および活性・発現量が変動していた膜受容体からVEGF関連ノンコーディングRNA発現に至るシグナル伝達経路を明らかにする。また、VEGF-R阻害時に誘導されるVEGF関連ノンコーディングRNAを、RNA-Seq解析により網羅的に同定する。VEGF関連ノンコーディングRNAの機能を解明するために、各ノンコーディングRNAを過剰発現・ノックダウンした時の変動遺伝子群をマイクロアレイ解析によって同定し、各ノンコーディングRNAによって活性化・抑制される経路を同定して、適応メカニズムを解明する。。
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