2016 Fiscal Year Annual Research Report
レニン遺伝子はいかにして血圧の変化を感知するのか?:新規エンハンサー機能の解明
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16J04305
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牛木 亜季 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | レニン-アンジオテンシン系 / 高血圧 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
レニンは、血圧恒常性維持に必須の昇圧酵素であり、その発現は血圧の変動によりフィードバック制御を受ける。しかしながら、同制御に関与する転写因子、及びcis-DNA配列は明らかとなっていない。そこで、本研究では、CRISPR/Cas9ゲノム編集法を用いて、高血圧環境下の転写抑制応答に関わるcis-DNA配列(高血圧応答性領域)を同定することを目的とした。 先行研究から、高血圧応答性領域は、レニン遺伝子タンパク質コード領域の遠位に存在することが示唆されていた。そこで、同領域の大まかな位置を決定するために、レニン遺伝子の上流領域、または、下流領域を欠失した内在遺伝子座をCRISPR/Cas9ゲノム編集法により作成した。本年度は、高血圧応答性の検証のために、これら欠失型遺伝子座を、当研究室で以前に作成された高血圧モデルマウス、及び正常血圧マウスに遺伝学的に導入し、発現量を定量した。その結果、上流領域中に応答性配列が存在することが明らかとなった。本結果の一部は、国際学術誌PLoS ONEに掲載され、国内学会、及び国際シンポジウムで発表を行った。さらなる分子メカニズムの解明に向け、培養細胞を用いた応答性領域の同定についても着手し、エンハンサー活性、及びDNaseI超感受性の観点から実験を遂行し、有力な候補配列を2箇所にまで絞り込むことに成功した。 また、薬剤をマウスに投与することで、レニン遺伝子の高血圧応答性に関与するシグナルの解明に向けた実験についても開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析を予定していた遺伝子改変マウスについて、予定通り解析することができた。さらに、培養細胞を用いた実験により、高血圧応答性領域の位置についても絞り込む事ができた。また、成果の一部を国際学術誌に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、有力な候補配列2箇所について、それぞれを欠失した内在遺伝子座をCRISPR/Cas9ゲノム編集法により作成し、解析を行う予定である。また、マウスへの薬剤投与実験や、培養細胞を用いた実験により、応答性に関与するシグナルを明らかにしていきたいと考えている。
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Research Products
(6 results)