2016 Fiscal Year Annual Research Report
マルチウェイブ超音波法を用いたハイブリッド型流量計による混相流量計測手法の開発
Project/Area Number |
16J04326
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村松 瑛 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 伝播時間差式超音波流量計 / 速度分布 / 超音波パルスドップラ法 / 流量計測 / 気液二相流 / 混相流 / 相速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では,1速度分布による超音波の伝播時間への影響評価と,2ドップラ強度に基づく気液界面検出手法の開発を実施した. 1速度分布による超音波の伝播時間への影響評価 伝播時間差法では,時間平均値における速度と伝播時間の関係は知られているが,その短い時間スケールにおける適用性は示されていない.そこで,その適用性を実験により検証した.実験は産業技術総合研究所の水流量校正設備で行い,試験部は直径D = 200 mmの水平円管とし,流量条件はQ = 320 m3/h,液単相流条件とし,整流部を55D上流に設けた.更に,速度分布の影響を評価するため,試験部の8D上流に邪魔板を挿入し,非軸対称流を発生させた.基本周波数1 MHzの2つのトランスデューサを流れに対してθ = 45°で向かい合わせに接液で設置した.1対のセンサでパルスを送受信することで流れによる伝播時間差を計測し,さらに,パルスドップラ法による速度分布計測を同時に行い,速度分布による伝播時間への影響を評価した.両者の時間的変動が一致したことから,短い時間についても,これらの関係式が適用できることを示した. 2ドップラ強度に基づく気液界面検出手法の開発 パルスドップラ法を気液二相流に適用すると,気相と液相の速度が混ざったデータが取得されるため,各相の速度データを分離する必要がある.しかしながら,一般に気液界面では音響インピーダンスの変化が大きく,反射波の強度が大きくなる.その反射波強度により速度分離を行った.実験装置は矩形の水槽とし,底面中央に気泡注入部を設置し,上昇する気泡とそれにより誘起される液相の流れを計測した.また,超音波による計測の適用性を検証するため,作動流体には液体金属であるGaInSnを用いた.その結果,ドップラ強度に適当な閾値を導入することで,各相速度を分離できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では,速度分布と伝播時間の同時計測が可能な計測システムを開発し,単相流においてそれらの関係を評価することと,パルスドップラ法の計測精度の検証に用いる回転円筒装置を製作し,最適な計測パラメータの検討を予定していた.予定していた計測システムの構築が完了し,試験流路での実験を予定通り行うことができた.また,回転円筒装置による精度検証も順調に進展したため,次年度に予定していた気液界面検出手法の検討に関しても予定を早めて実施することができた.以上から,超音波による混相流量計測手法の構築について,順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
高精度な混相流量計測のためには,速度分布を取得するパルスドップラ法の高精度化が必要不可欠となる.次年度では,これまで行ってきたドップラ強度に基づく反射波信号の選別だけでなく,位相差の時間変化や反射波のスペクトル解析を通して,更なる高精度化を目指す.気液界面における超音波の反射や減衰を利用した超音波CTによる相分布計測手法について,配管径が50mm程度の流れを対象として1000fps程度の高速な断面画像構成手法の開発を目指して,信号処理法やセンサ配置について検討する.
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Research Products
(7 results)