2017 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母のSSG1-1長寿変異株における新規寿命制御機構に関する研究
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16J04341
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 貴史 広島大学, 先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 寿命 / S-アデノシルホモシステイン / TOR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メチオニン代謝産物が寿命制御に関与する機構を解明することを目的として、出芽酵母を用いてS-アデノシルメチオニン(SAM)とS-アデノシルホモシステイン(SAH)を蓄積する長寿変異株SSG1-1の寿命制御機構の解明を行なった。平成28年度までの解析から、SSG1-1変異株はSAM合成の促進が細胞内ATPを消費し、酵母AMP依存性プロテインキナーゼAMPKを活性化して長寿命となることを見出した。また、細胞内にSAHを蓄積することでSAM合成が促進され、長寿となることを見出した。一方、SSG1-1遺伝子の機能が明らかになっていないこと、およびSSG1-1変異株はラパマイシン感受性を示し、target of rapamycin (TOR) 経路との関係が予想されたことから、これらの点に着目して解析を行なった。Ssg1の局在観察を行ったところ、液胞膜に局在していたことから、SSG1-1変異株は液胞にSAMまたはSAHを蓄積する機能が予想された。液胞と細胞質を分画し、SAM/SAHの局在の解析を行ったところ、SSG1-1変異株はSAHを液胞に蓄積することが分かった。このことから、Ssg1は液胞へSAHを輸送する機能が予想された。SSG1-1変異株とTOR経路の関連を調べるため、TORの活性化レベルを解析した結果、SSG1-1変異株はTORの機能が低下する結果が得られた。そこで、TOR経路抑制の機構を明らかにするため、TOR経路上流のメチル基転移酵素PPM1によるプロテインホスファターゼPP2Aのメチル化レベルを測定した結果、SSG1-1変異株は比メチル化レベルが野生株に比べて低下していた。このことから、SSG1-1変異株はSAHの蓄積によりPpm1を負に制御し、TOR経路の活性を低下することが予想された。以上より、SAM/SAHが関わる寿命制御機構の新たな側面を見出した。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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