2017 Fiscal Year Annual Research Report
宿主ゲノム内に見つかったフィロウイルス遺伝子の機能解析
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16J04404
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 達成 北海道大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | フィロウイルス / エボラウイルスVP35 / 非レトロウイルス由来の内在性遺伝子 / mlEFL35 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告されているフィロウイルス由来と考えられるゲノム配列のうち、トビイロホオヒゲコウモリのゲノム上に見つかったエボラウイルスVP35遺伝子に相同性が高く、且つ、オープンリーディングフレームが保存されている領域(mlEFL35)を人工合成した。mlEFL35由来の蛋白質(mlEFL35p)を哺乳類由来培養細胞に強制発現させる系を確立し、発現した蛋白質の機能解析を行った。mlEFL35pはフィロウイルスのVP35同様にIFN応答阻害活性を有した。一方で、mlEFL35pは、ウイルスゲノムの複製に重要なウイルスポリメラーゼコファクターとしての機能は持たないことが分かった。また、VP35を共発現させた細胞を用いた免疫沈降法の結果から、mlEFL35pは多量体を形成すること及びエボラウイルスのVP35とも相互作用することが示唆された。これらの結果をまとめ、科学雑誌に投稿し、2017年10月に受理された(Kondoh T. et al., PLoS ONE 12(10): e0186450. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0186450)。 また、VP35およびmlEFL35pの恒常発現細胞をHEK293細胞、Vero E6細胞、Hela細胞でそれぞれ作製し、海外のBSL-4施設(アメリカ合衆国の国立感染症アレルギー研究所)にて感染性エボラウイルスを用いた実験を行った。しかし、mlEFL35pがエボラウイルスの生活環に与える影響を確認することはできなかった。これらの結果をまとめ、2018年1月に開催された7th Negative Strand Virus-Japanで口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、既知の内在性遺伝子(mlEFL35)を人工合成し強制発現させる系を確立した事ならびにmlEFL35pの機能解析を行い、VP35の機能と比較して得られた結果を論文として投稿できたこと。さらに、トビイロホオヒゲコウモリに近縁なコウモリの培養細胞を入手し、次のステップへの準備も始めていること。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、トビイロホオヒゲコウモリに近縁なコウモリの培養細胞を用いた実験を行う予定である。また、昨年度に引き続き新たにプライマー合成を行いFrESs遺伝子は検出も継続して行う予定である。
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Research Products
(7 results)