2017 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of Ultra-High Energy Cosmic Rays and Measurement of Their Mass Composition with a New-Type Fluorescence Detector
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16J04564
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 俊博 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD) (50706877)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 宇宙線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代の極高エネルギー宇宙線観測実験を目指した開発研究として、直径1.6 mの複合鏡と焦点面に4本の20 cmの光電子増倍管を設置した低コスト型の新型大気蛍光望遠鏡をこれまでに合計2基製作した。その後、データ収集用回路を設置し、テレスコープアレイ実験の大気蛍光望遠鏡からの外部トリガーと同期したデータ収集による観測を開始した。また、2基の望遠鏡の日本からの遠隔操作方法を確立し、日本の昼間に米国ユタ州の夜間定常観測を実施している。そして2016年10月から2018年3月までの期間に、累計335時間の夜間晴天夜における観測を達成した。 データ解析では、テレスコープアレイ実験の地表粒子検出器または大気蛍光望遠鏡から宇宙線の到来方向情報を使って、新型大気蛍光望遠鏡の測定データから質量組成に感度を持つ空気シャワー粒子が最大粒子数に達する深さ(Xmax)を測定する手法を実装した。また、30分ごとに射出される21 km先の遠方の紫外線垂直レーザー光を観測し、その波形の形から時々刻々と変化する大気透明度を見積もる解析を実装した。現在は、光電子増倍管や鏡、大気透明度といった時間依存する各種較正データをデータベース化し、高精度解析の準備を進めているところである。また、新型大気蛍光望遠鏡で観測される、陽子もしくは鉄の極高エネルギー宇宙線によるXmax分布とそのエネルギー依存性を検出器シミュレーショにより見積もった。 これらの研究成果については、テレスコープアレイ実験およびピエールオージェ観測所の共同研究者会議や、国内外の物理学会や国際会議で報告することで、多くの大気蛍光望遠鏡の専門家らとの議論を深めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代の開発研究となる低コスト型の新型大気蛍光望遠鏡を米国ユタ州のテレスコープアレイ実験に合計2基設置し、日本からの遠隔操作によって定常観測を継続している。また、極高エネルギー宇宙線の検出事象数も増加しつつあり、当初の予定通り順調に研究が進んでいる。また到来方向情報を他の検出器から受け取って、質量組成に感度の高い空気シャワーの最大発達深さ(Xmax)を求めるデータ解析の実装も進んでおり、高精度解析へ向けた各種較正データの整理、検出器シミュレーションとの比較も予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、テレスコープアレイ実験の現場責任者であるJohn N Mattews 特任教授と週1回の定例会議を開催し、継続的な運用について問題がないかについて議論を継続する。さらに、月に1度の共同研究者全体の電話会議も継続し、共同研究者同士のの密な連携によって迅速に研究計画を進め、定常観測およびデータ解析を進めていく。 さらには、テレスコープアレイ実験およびピエールオージェ観測所の共同研究者会議や、国内外の研究集会、国際会議で発表し、専門家らとの議論を通じて目的の早期発見および解決に努める。
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