2016 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ信号処理のためのフィルタバンクの設計とセンサネットワークへの応用
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16J04808
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
崎山 亮恵 東京農工大学, 大学院生物システム応用科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | グラフ信号処理 / フィルタバンク / wavelet / センサネットワーク / センサ配置位置選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グラフ構造を適切に考慮し効率的に信号の解析を行なうグラフフィルタバンクを設計し、異常検知・ノイズ除去・センサ配置等のセンサネットワーク上の問題に応用することを目的とする。平成28年度は、基礎理論研究として「グラフ信号処理のためのフィルタ設計」、応用研究として「センサ配置位置選択問題のグラフ信号処理からの取り組み」を行なった。 フィルタ設計では、伝統的な信号処理で利用されていた離散コサイン変換などのフィルタがグラフフィルタとして再利用可能であることを証明した。さらに提案手法によって得られたグラフフィルタに対し高速化のための近似手法を適用した際の誤差は、従来手法の近似誤差と比較して非常に小さいことを、計算と実験により証明した。提案したグラフフィルタを画像やセンサネットワーク上のデータの圧縮や雑音除去に応用した結果、従来手法よりも良好な結果が得られた。その理論と結果をまとめた論文がIEEE Transactions on Signal and Information Processing over Networksに採録された。 また応用では、グラフ信号の不確定性原理に基づいたセンサ配置位置選択手法を提案することで、従来手法と同程度の性能(SNR)を示しつつ、最大1000倍程度高速な処理を達成した。この成果はIEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing 2017に採録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、伝統的な信号処理におけるフィルタ設計理論を利用したグラフスペクトルフィルタの設計手法を提案したことにより、良い性質をもったグラフフィルタを簡単に取得可能となった。また、応用としてセンサ配置位置選択問題に取り組むことで、従来手法に比べ高性能かつ高速な手法を達成した。以上のことから、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワーク上の信号を解析するための良いグラフの構築法を考案する。また、有向グラフに対して有用なグラフフィルタの設計を目指す。応用面では、センサ配置位置選択問題の更なる性能向上を目指し理論的な検討を行なう。その他のセンサネットワーク上の問題への応用として「異常検知」に取り組む。
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