2016 Fiscal Year Annual Research Report
テンプレートフリー多孔体創製技術の確立と機能性デバイスへの展開
Project/Area Number |
16J05048
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土居 茜 九州大学, 総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | アルカリ土類フェライト / 異種元素添加 / 結晶子成長 / X線吸収分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
セラミックス材料の微細構造の改質や多孔化は、一般的に高分子テンプレートが用いられる。高分子テンプレートは消耗材かつ非常に高価であり、二酸化炭素低減の観点からも新たな創製技術の確立が望まれる。これまでに我々は、異種元素添加によるアルカリ土類フェライト(マグネシウムフェライト及びカルシウムフェライト)粒子の微細化や多孔質構造の出現を見出してきた。しかしながら、アルカリ土類フェライトの粒子サイズや多孔度等の精密制御はまだ達成されておらず、調製条件の最適化を行うことが不可欠である。異種元素添加によるテンプレートフリーなアルカリ土類フェライト材料の微細構造改質技術の開発を目的として、本年度では異種元素の種類,添加量,焼成条件を変えたアルカリ土類フェライトを調製し、微細構造(結晶子サイズ,粒子形態,多孔質構造)が如何に変化するか調査した。 異種元素(Al, Si, Ti, Zr, La)を添加したマグネシウムフェライトは、有機酸錯体法を用いて調製した。5mol%の異種元素を添加した場合では、400℃焼成時の結晶子サイズはいずれの試料でもほとんど変わらなかった。焼成温度が上昇すると異種元素添加の影響が明確に現れ、いずれの元素を添加した場合も未添加の場合より結晶子サイズが小さくなった。この傾向は、SiやLaの添加の場合に顕著であった。添加量が10 mol%の場合にも、同様の挙動が認められた。 更に、添加したSi周りの局所構造を調べるために、X線吸収分光測定を実施した。XANESスペクトルから得られた吸収端の変化より、5 mol%のSi添加した場合では、低温焼成時ではSiO4四面体のネットワーク構造が維持されており、高温焼成によって破壊されている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、種々の異種元素を添加したマグネシウムフェライトを調製し、SiやLaの添加が結晶子成長の抑制に対して特に有効であることを見出した。また、Si添加試料については、放射光施設を利用したX線吸収分光測定から、Si周りの局所構造に関する知見が得られた。得られた成果については学術論文や学会発表において公表し、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目に引き続き、調製したアルカリ土類フェライトのキャラクタリゼーションを繰り返すことで、微細構造制御の調製条件を検討する。また、精密構造解析やTEM観察を併用して、添加元素の存在状態を原子レベルで明確にする必要があると考える。更に、得られた知見をもとに、触媒担体や電極材料,光触媒などとしての利用を見据えた試料を調製し、調製した試料の物性について検討する予定である。
|