2016 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオン電池負極材としての細菌由来鉄酸化物の機能特性に関する第一原理的研究
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16J05234
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三澤 賢明 熊本大学, 大学院自然科学研究科(理), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 第一原理分子動力学シミュレーション / アモルファス / 金属酸化物 / 反応ダイナミクス / リチウムイオン電池 / 負極活物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酸化鉄を主成分とし、シリカを不純物として含むアモルファス構造体である、細菌由来鉄酸化物(BIOX)が、リチウムイオン電池負極材として優れた機能特性を示すメカニズムを、第一原理分子動力学シミュレーションを用いて明らかにすることを目的としている。 本年度は、我々の手法によってシリカの動的振る舞いを正確に再現できることを示すため、高圧相であるスティショバイト単結晶における引張応力誘起アモルファス化現象の第一原理分子動力学シミュレーションを行った。シミュレーションの結果、長距離の拡散を伴わずにアモルファス化が実現されることを理論的に示すことに成功し、実験結果もよく再現することができた。また、我々の手法でシリカの振る舞いを正確に記述できることを確認した。これらの知見はScience Advances誌に投稿し、掲載が決定している。 また、シリカのドープが充放電反応に及ぼす影響を調べるため、アモルファス酸化鉄およびシリカをドープしたアモルファス酸化鉄ナノ粒子におけるLiイオンの吸着・解離反応の第一原理分子動力学シミュレーションを行った。シミュレーションの結果、特にLiイオンの解離反応に着目して解析を行ったところ、シリカをドープすることによってLiイオンの解離反応が緩やかになることがわかった。安定な共有結合を形成する不純物のドープによって、放電過程における電極へのストレスが軽減される可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、充放電反応の第一原理分子動力学シミュレーションを実行し、構造および電子状態の解析を行った。純粋な鉄酸化物と不純物シリカを含む鉄酸化物とで明確にことなる挙動が得られた。さらに、シリカの挙動を正確に再現することに成功し、論文を投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は放電反応過程についての解析を中心に行ってきた。今後は充電状態におけるLiイオンの吸着状態に着目し、詳細な解析を行っていく。また、充電反応に伴う生成物に関して調査を行い、反応の素過程のメカニズムを詳細に検討する。
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