2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎盤特異的輸送体による胎児環境制御機構の解明と病態時変動マーカーの探索
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16J05272
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 幸希 慶應義塾大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 胎盤関門 / 有機アニオントランスポーター / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) の胎児移行性にorganic anion transporter (OAT) 4が与える影響の評価とOAT4発現マーカーの探索を目的とし、OAT4を介した薬物輸送と胎盤特異的なOAT4の発現機構について検討した。ARBは、胎盤を透過して胎児腎に到達することでヒトに限定的な胎児毒性を示す。過去に、ARBであるolmesartanの胎盤関門胎児側基底細胞膜における輸送へのOAT4の関与について報告している。また、chlorideはOAT4を介した交換輸送の駆動力となることが提唱されることから、今回は、5種のARB (candesartan、irbesartan、losartan、telmisartan、valsartan)について、OAT4発現細胞による取り込みを、細胞外chloride非存在下で定量した。少なくともlosartan、candesartan、valsartanについては、OATを介した細胞内取り込みが示された。抗ヒスタミン薬cetirizineについてもOAT4を介した輸送方向性を解析し、OAT4がラセミ体のcetirizineのうち、levocetirizineのみを選択的に細胞内に取り込むことを示唆する結果を得た。OAT4の転写制御領域についての解析では、胎盤および腎臓由来OAT4 遺伝子の転写開始点が異なることを同定した。さらに、尿細管上皮および胎盤栄養膜モデル細胞における転写活性の比較から、胎盤におけるOAT4発現を司るプロモーター領域を明らにした。胎盤OAT4の5’隣接領域変異解析から、転写因子AP-2結合配列を含む領域が胎盤でのOAT4 基礎転写活性に必須の領域であることが示された。本研究より、ヒト胎児への薬物移行予測の発展に寄与する結果を得た。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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