2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミンによるミクログリア機能制御と神経保護作用について
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16J05282
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯田 智光 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ヒスタミン / ヒスタミン3型受容体 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギーや胃酸分泌に関わるヒスタミンは、脳内では神経伝達物質として機能し、睡眠覚醒や情動行動といった様々な脳機能を調節している。脳内ヒスタミン機能の調節異常が様々な精神神経疾患と関連があることから、脳内ヒスタミン受容体を標的とした創薬研究も盛んにおこなわれている。しかしながら、脳内ヒスタミン研究は、盲目的に神経細胞を標的に行われてきた。本研究では、脳内ヒスタミンの作用標的として脳の免疫細胞ミクログリアに焦点を当て、ヒスタミン受容体を介したミクログリア機能制御と病態との関連について検討をおこなう。 これまでの研究により、マウス初代培養細胞の系において、ミクログリアにはヒスタミン3型受容体(H3R)が発現しており、このH3Rを介し、ミクログリアの重要な機能である遊走能、貪食能、サイトカイン分泌能が制御されることを明らかにした。今年度は、これまでの研究の発展として、ex vivoやin vivoの系にてミクログリア機能におけるH3Rの役割について検討をおこなった。さらに、病態モデルを用いた実験として、うつ病モデルマウス用い、H3Rを介したミクログリア機能制御の重要性について検討をおこなった。 H3R作動薬により、急性海馬スライスにおけるミクログリアの遊走能と貪食能が抑制された。また、in vivoにおいてもビーズの貪食が抑制された。さらに、LPS誘導性うつ病モデルに対しH3R作動薬を投与したところ、うつ様行動は優位に抑制され、うつ病関連サイトカインの発現が低下し、サイトカインの供給源であるミクログリアによるサイトカインの産生も抑制されることが明らかとなった。 今後は、神経変性疾患モデルを用い、ミクログリアに発現するH3Rの重要性を確立するとともに、脳内ヒスタミンの神経保護作用についてミクログリアの側面から検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、培養細胞系の実験の発展として、ex vivoとin vivoの系において、ミクログリア機能におけるヒスタミン3型受容体(H3R)の重要性を明らかにすることができた。更に、病態モデル用いた実験では、H3Rがミクログリア機能制御に関与し、うつ病モデルマウスの病態に影響を与えることを示すことができたた。よって、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、神経変性疾患などの病態モデルを作製し、ミクログリアに発現するヒスタミン3型受容体の重要性を検討していく。また、病態モデルにおいて、ヒスタミンによる神経保護作用をミクログリアの側面から検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)