2016 Fiscal Year Annual Research Report
HyperAMDによるチャーム核構造研究の展開と不純物効果の解明
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16J05297
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井坂 政裕 大阪大学, 核物理研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ハイパー核 / バリオン多体系 / 不純物効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、代表的なチャームバリオンの1つであるラムダc粒子が原子核に加わることでもたらされる核構造の変化(不純物効果)を明らかにし、それをハイパー核及び(中性子が加わった)通常核の構造と比較することで、加えたバリオンによる不純物効果の違いを明らかにすることである。本年度は、これまで申請者が発展させてきたHyperAMD模型を基にして、チャーム核構造を記述する理論的枠組みを構築した。また、チャーム核の比較対象として、軽い核のアルファクラスター構造に着目してシングルおよびダブルラムダハイパー核における構造変化を調べた。具体的には以下の通りである。 1)HyperAMD基づくチャーム核構造模型の構築:チャームバリオンは、ラムダ粒子と質量が異なるのみならず、電荷も持つ。そこで、これまで用いてきたHyperAMD模型を基にして、チャームバリオンの電荷や質量の違いを考慮し、チャーム核の構造を記述する模型を構築した。この枠組みを、いくつかのチャーム核に適用して予備計算を行い、そのエネルギー曲線が得られた。今後は、得られたエネルギー曲線をハイパー核の場合や通常核の場合と比較して、核構造の変化を明らかにする。 2)ハイペロンによるアルファクラスター構造の変化:アルファクラスター構造は軽い原子核が持つ典型的な構造であり、Be核やC核の基底・低励起状態に現れることが知られている。本年度は、Be核及びC核のアルファクラスター構造に着目して、まずラムダ粒子が1つ加わったシングルラムダハイパー核と、2つ加わったダブルラムダハイパー核についてGCM計算を行った。その結果、特にラムダ粒子が1つ加わったシングルハイパー核では、クラスターの閾値エネルギーに対応してハイパー核を部分系としたクラスター構造が励起状態に現れることがわかった。現在、ダブルラムダハイパー核についても分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまでハイパー核の構造研究で成功を収めているHyperAMD模型に基づき、チャーム核構造を記述可能な模型を構築した。このことにより、通常核、ハイパー核、チャーム核を同じ枠組み(反対称化分子動力学;AMD)を用いて比較・分析することが可能になった。また、比較対象となるハイパー核の構造研究では、シングルラムダハイパー核のみならず、ダブルラムダハイパー核にもHyperAMDを拡張し、その構造の分析を行っている。今後の研究のために必要な理論的枠組みが完成し、比較対象となる結果も出つつあることから、概ね順調に進捗しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、アルファクラスター構造に着目したハイパー核の構造研究については、現在行っている分析をさらに進める。チャーム核については、本研究で構築した枠組みを適用し、構造変化の分析を行う。具体的には、チャームバリオンが加わった際のエネルギー曲線の変化を調べる。その上で、クラスター構造の変化を持つ核にも適用し、その変化を調べ、ハイパー核の場合と比較する。また、近年の格子QCD計算の進展により、チャームバリオンやチャーム中間子と核子との間の相互作用が得られつつある。そこで今後は、チャームバリオン・核子間相互作用についても、最新の格子QCD計算で得られた相互作用を用いるなどの改善を図る予定である。
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Research Products
(9 results)