2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規ビスイミダゾリン不斉触媒の創製と不斉カップリング反応の開発
Project/Area Number |
16J05331
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 健 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 不斉反応 / 不斉触媒 / カップリング反応 / イミダゾリン / パラジウム / ニトリル |
Outline of Annual Research Achievements |
カップリング反応は分子同士を自在に連結させる方法として重要かつ魅力的な手法の1つである。また、触媒的不斉反応は少量のキラル源から大量の光学活性化合物を合成する方法であり、高機能医農薬品の効率的合成を行う際に有用な手法である。すなわち、不斉カップリング反応の開発を行うことで、多様なキラルビルディングブロックの合成が可能となる。しかしながら、その合成技術は多くない。そこで、本反応を達成するために、高機能を有する新規不斉触媒の設計・合成を行い、ビスイミダゾリン触媒の適切な位置にニトリル基を導入し、ニトリル基-金属間の相互作用を利用することで、イミダゾリン触媒においてこれまで使われていなかった不斉反応場を高度利用した触媒の合成を行った。本触媒によって、かさ高い反応環境が形成され、高度な不斉反応場を構築するとともに、還元的脱離反応を促進することが期待される。現在、本触媒を用いて、不斉カップリング反応を始めとする様々な不斉反応の検討を行っている。 また、上述の反応はビスイミダゾリン触媒上のニトリル基と反応剤上の金属間の相互作用を利用しており、その逆の相互作用も有効であると考えられる。すなわち、ビスイミダゾリン触媒上の金属と反応剤上のニトリル基の相互作用を利用した不斉合成反応の開発を行った。ジクロロアセトニトリルのイミン類に対する不斉マンニッヒ型反応の開発を行ったところ、キラルビルディングブロックとして有用なα,α-ジクロロ-β-アミノニトリルを高収率、高エナンチオ選択的に得ることに成功するとともに、様々な有用な化合物へ誘導することに成功した。本反応は世界初のジクロロアセトニトリルを用いた不斉反応である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初提案した触媒の合成を試みたものの、合成が困難であったことから、より汎用性の高い新たな触媒構造の再設計を行ったところ、合成に成功した。新たに設計した触媒は、従来のビスイミダゾリン触媒にも本研究のコンセプトを導入できる設計となっているため、有用であるといえる。現在、不斉カップリング反応を始めとする様々な新規不斉反応への展開を行っている。また、ニトリル基と金属間の相互作用を利用するというコンセプトを応用して、世界初のジクロロアセトニトリルのイミン類に対する不斉求核付加反応の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、再設計したビスイミダゾリン触媒を用いることで、不斉カップリング反応など種々の有用な不斉反応の開発を行うとともに生物活性物質の効率的合成手法の開発を目指す。また、本触媒の配位性官能基の有用性を示していきたい。また、ニトリル基と金属間の相互作用を利用するというコンセプトをさらに展開していきたい。
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