2016 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ科魚類における性的葛藤遺伝子の同定と機能解析
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16J05534
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
安齋 賢 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | メダカ / 性的二型 / 性染色体 / 色素細胞 / QTL / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、性的二型の多様化と、それに伴う性的葛藤遺伝子の性特異的な発現機構について詳細に理解することを目的としている。実験モデルとして、インドネシア・スラウェシ島に生息するウォウォールメダカの雄の体色(赤い胸鰭及び青い体側)に着目し、研究を進めている。本年度は、主に(1)種間交雑家系を用いた雄の体色に関する連鎖解析と、(2)体表組織における網羅的遺伝子発現解析を中心に行った。 (1)ウォウォールメダカの雄を、近縁種セレベスメダカの雌と交配することでF2家系を作製した。スペクトル分析と画像解析から体色表現型を評価し、各個体の遺伝子型をddRAD-seq解析により決定し、量的形質座位(QTL)マッピングを行った。その結果、赤い胸鰭については、その原因遺伝子が常染色体上に存在することが強く示唆された。対応するゲノム領域を詳細に解析した所、本原因領域は11Mb程の塩基から構成され、400個程度の遺伝子を含むことが明らかとなった。一方、青い体側については、表現型によって有意な連鎖が確認できる領域が異なることから、複数の遺伝子座が関与している可能性が示唆された。 (2)QTL上に存在する遺伝子群から、体色の性的二型に関与する遺伝子を絞り込むため、胸鰭組織からRNAを抽出し、網羅的な遺伝子発現解析を行った。予備的な解析から、赤い胸鰭に関してはQTL内に存在し、種間/雌雄間での発現差がある遺伝子が同定された。本遺伝子は、他魚種において色素細胞形成に関わるとの報告があることから、有望な原因遺伝子候補であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QTL解析とRNA-seq解析から、胸鰭の体色にかかわる原因遺伝子候補の絞り込みが順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
胸鰭の体色について、絞り込んだ候補遺伝子の中から原因遺伝子を絞り込むため、CRISPR/Casシステムを用いた標的遺伝子破壊と、単離した発現調節領域を用いた遺伝子導入実験を並行して進める。 また、野外集団間に見られる体色変異において、本遺伝子座がどのような役割を果たしているかを知るため、野外採集個体を用いた集団遺伝学的な解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)