2017 Fiscal Year Annual Research Report
標的分子と特異的に共有結合を形成する特殊ペプチドの探索
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16J05654
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 直也 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 特殊ペプチド / スクリーニング / 共有結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、反応性官能基を持つ環状ペプチドライブラリーを構築し、標的との共有結合形成能力を指標としたスクリーニング法を確立することを目指している。前年度に行ったライブラリー構築とスクリーニングの条件検討の結果を踏まえて、今年度はスクリーニングを実施した。さらに、得られたペプチドの化学合成法も確立し、共有結合形成の確認も行った。 まず、寄生虫由来の酵素を標的としたスクリーニングを実施した。本研究のスクリーニング法は特殊環状ペプチドのin vitroセレクション法を応用したものである。既存の手法では、磁気ビーズに固定化した標的とペプチドライブラリーを混合し、標的に結合したペプチドを回収することで、結合力を指標としたスクリーニングを行う。本研究では、標的に結合したペプチドを回収した後に変性剤で洗浄することで、共有結合を形成したペプチドを選択的に回収した。この手法により、共有結合を形成すると期待されるペプチドを4種類発見した。 次に、これらのペプチドを翻訳合成して共有結合形成を確認した。磁気ビーズに固定化した標的と翻訳合成ペプチドを反応させた後にビーズを変性剤で洗浄し、変性前後のペプチド結合量を測定した。変性前の結合量は反応時間に依存しなかったのに対し、変性後は反応時間に比例したため、可逆的に結合した後に不可逆な共有結合形成反応が進行していることが示唆された。また、反応性官能基の脱離基にフッ素を導入することで共有結合形成速度を向上できることも確認した。 さらに詳細な評価を行うため、ペプチドを化学合成した。まず直鎖ペプチドを固相合成し、続いて固相上で環化と反応性官能基の導入を行い、最後にHPLCで精製することで、反応性環状ペプチドの簡便な化学合成法を確立した。化学合成したペプチドと標的タンパク質との反応を液相で調べたところ、4種類のペプチドのうち2種類が共有結合を形成することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度の条件検討の結果を踏まえてスクリーニングを実施し、創薬標的となりうるタンパク質と共有結合を形成する環状ペプチドの発見に成功した。さらに、反応性環状ペプチドの化学合成法も確立しており、活性評価の準備も整っている。したがって、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスクリーニングで発見したペプチドの評価を行う。具体的には、標的に対する選択性の評価、反応速度の測定、標的上での結合部位の特定、阻害活性の評価を予定している。また、他のタンパク質を標的としたスクリーニングも実施することで、本手法の汎用性を確認する予定である。
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