2016 Fiscal Year Annual Research Report
位相・蛍光3次元計測可能なマルチモーダルディジタルホログラフィック顕微鏡の開発
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16J05689
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
全 香玉 神戸大学, システム情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光ディジタルホログラフィック顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 / マルチモーダル顕微鏡 / ディジタルホログラフィック顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに行ってきた研究において、細胞からの蛍光と位相の二つの物理量を、一つの顕微鏡システムで高速3次元同時計測が可能なマルチモーダルディジタルホログラフィック顕微鏡(MDHM)を考案してきた。位相の3次元計測には近年注目されている異軸ディジタルホログラフイック技術を採用し、シングルショット3次元再構成を実現した。この計測システムを従来の2次元蛍光イメージングと結合させて生体細胞を同時計測した結果を修士課程中に論文として発表し、その研究成果が評価され一般社団法人日本光学会より光学奨励賞を受賞した。 本年実施した研究では蛍光の3次元計測を実現するために2つの実現方法を提案した。一つ目は蛍光計測にも同様にディジタルホログラフィック技術を導入する方法である。低コヒーレンス性を持つ蛍光から高いS/N比の干渉を起こさせるために回折格子構造を持つ二重レンズ回折法を提案した。原理確認実験としてLED光源を用い、違う奥行き位置にある2つの点光源を一枚のホログラム画像で収得・再構成した。この方法は現在の蛍光顕微鏡の光学系に回折素子を追加することで簡単に実現可能である。この研究成果を2017年2月に国際的学術誌Optics Lettersで発表した。 二つ目の方法は従来の蛍光顕微鏡で撮った2次元画像から焦点外れした物体の画像を画像処理で復元する方法である。この方法ではMDHMから3次元位相情報を収得した後、観察蛍光物体の記録面から焦点面までの距離情報と収差補正方法を使って画像を復元する。この方法は従来の顕微鏡構成を変えずに直接画像処理が可能である。しかし各観察物体に対して個別な補正が必要となるために、物体分布がスパースな場合に限定される。この結果を日本光学会年次学術講演会で発表し、「student award」を受賞した。この研究成果を2017年4月に国際的学術誌Optics Lettersに採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光と位相を同時に3次元で計測するマルチモーダルディジタルホログラフィック顕微鏡(MDHM)を実現するために、新たに異軸蛍光ディジタルホログラフィー方法を提案した。提案手法の鍵となる2重レンズ機能を含んだグレーティング素子についてシミュレーション解析を行い、LED点光源を再構成することで結果を確かめた。この方法は現在の蛍光顕微鏡の光学系に回折素子を追加することで簡単に実現可能である。この研究成果を2017年2月に国際的学術誌Optics Lettersで発表した。 高速蛍光3次元計測を実現するもう一つの方法として、現在ある2次元計測システムから焦点外れした蛍光物体を画像処理で復元する方法も提案した。これは従来の顕微鏡をそのまま使って収差補正計算を適用することで蛍光3次元計測を実現している。提案手法は空間的にスパースな分布を持つ蛍光物体の計測に適している。この研究成果は2017年4月に国際的学術誌Optics Lettersに採択された。 位相と蛍光両方の各点において奥行きに合焦となる位置を追跡するオートフォーカスを機能についてシミュレーション解析を行った。特に位相物体の計測について位相情報以外に振幅情報も使って正確な位置を決める方法を提案した。このアルゴリズムは将来的にスパースな分布を持つ粒子などの自動計測に適している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度には高速蛍光3次元計測を実現するために異軸蛍光ディジタルホログラフィー方法を提案し、検証実験を行った。今後の研究推進方策として、異軸蛍光ディジタルホログラフィーと位相計測用異軸ディジタルホログラフィック顕微鏡を結合させて同時計測が可能なマルチモーダルディジタルホログラフィック顕微鏡(MDHM)システムを構築する。蛍光3次元計測においてバイオサンプルを使った実験を行い、その結果を分析する。複雑な生体細胞の画像を高いコントラストで再生する為、蛍光DHM に並列位相シフト法の適用することを検討する。また、レーザー光の偏光操作と偏光イメージングカメラを併用することで、偏光3次元像を取得することも可能になる。複数のレーザー波長を用いるとマルチスペクトル3次元像を得ることも可能になる。これらを同時または独立して簡便な方法で切り替えることのできるシステム構成を設計し、マルチモーダル顕微鏡を構築する。また、LabViewなどのソフトウェアを使って自動計測プラットホームをプログラミングする。自動計測においてオートフォーカス機能を改善し、より多くの粒子の位置確定に適用させる。これらの結果を元に特許化を行うとともに、学術論文誌に発表する。バイオ応用において植物細胞の初期化実験と脳神経細胞のイメージング実験を提案MDHMシステムを使って高速撮影し、その結果を学術論文誌に発表する
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