2016 Fiscal Year Annual Research Report
CH-π相互作用による液膜保持を用いた滑水性防氷膜の作製
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16J06070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
天神林 瑞樹 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 防氷コーティング / 撥水 / 滑落コーティング / 表面 / 界面 / 生態模倣 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題概要:基材に対して防氷性の液膜を形成し,「氷を滑らせる」凍結防止コーティング技術の開発を目指す.本課題の研究は非常に順調に進んでいる.第1年度目の研究を完了し,第2年度目の研究の半分程度まで完了した. 第1年度目計画概要:液膜を作製するためには,液膜を保持するためのベースコーティングの開発が必要である.液膜を保持するためのベースコーティングの構造・表面化学制御を行い,液膜の安定性を調査した. 成果:①液体の付着力が,材料の内容物によらず,表面エネルギーに相関を持つことを解明した.本成果に関して論文が掲載された.②液体が材料表面で液膜を形成するときのダイナミクスを観察し,液体の物性と液膜形成の関係を調査した.本成果に関して論文が掲載された.[Nanoscale, 2016]③CH-π相互作用を用いて液膜を安定的に形成する技術に成功し,更にその理論を新規提案した.本成果に関して論文が掲載された.[Advanced Functional Materials, 2016] 第2年度目計画概要:液膜の物性と滑落対象の物性によって滑落性能やその挙動が変化することが知られている.そこで最も効率的に対象を滑落させるための液膜の選定や表面状態の解析を行った.また,滑落対象の一つである氷の付着を抑制するためのコーティング剤の開発を検討した. 成果:①液膜の粘性,表面エネルギー,そしてベースコーティングの構造が,滑落対象の物理的な運動量に相関することが明らかとなった.(論文投稿中)②ベースコーティングの構造及び液膜を最適化することで,0.5度傾ければ水滴が滑落し,氷や雪の付着を抑制するコーティング剤を開発.論文掲載,海外学術誌の内表紙採択,及び日経新聞への掲載,などの成果を発表.[日本経済新聞2017年1月8日]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に述べた第1年度目研究計画を完了し,更に計画第2年度目の研究計画を半分程度遂行している為.現在のところ研究計画は順調に進んでおり,当初の予定通りに遂行する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度目研究計画の課題,及び第3年度目研究計画を遂行する.今のところの研究計画の軌道修正はない.具体的には,滑落性防氷膜の安定性・滑落特性の最適化, および液膜の粘性,表面エネルギー,そしてベースコーティングの構造が,滑落対象の物理的な運動量へ与える影響の調査を行う.
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