2016 Fiscal Year Annual Research Report
表面反応メカニズム解明による不均一系人工光合成触媒の合理的設計
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16J06079
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 宗昭 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 光触媒 / 二酸化炭素還元 / 表面反応メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
人工光合成の一つである水を用いた二酸化炭素の還元においては、選択的に二酸化炭素を還元するための表面反応の制御が重要である。本研究では水を用いた二酸化炭素の還元を可能とする光触媒の合理的設計を目指しており、特に光触媒の表面反応を理解し制御することによりこれを達成する。具体的には銀助触媒を担持した酸化ガリウム光触媒を対象に、触媒表面及び触媒表面に吸着した反応分子双方の触媒反応中における化学状態・構造変化を観察することに主眼を置いている。 本年度は酸化ガリウム光触媒上の銀助触媒及び二酸化炭素分子が、触媒反応中にどのように変化するかを明らかにした。反応前の銀高担持触媒中の銀粒子は部分的に酸化された状態にあり、酸化ガリウムとの界面では複合酸化物構造を形成していることが分かった。反応後の触媒では銀は金属的な状態となり、触媒活性は反応時間とともに増加していったことから、銀粒銀低担持触媒中には小さな銀金属クラスターが存在しており反応初期に高活性であるが、反応後には凝集して活性が低下することが明らかになった。 さらに二酸化炭素分子の吸着は金属状態の銀粒子には吸着しない一方で、複合酸化物構造を形成した銀粒子に強く吸着することが明らかになり、触媒反応への関与が示唆された。また、光照射によって生成する反応中間体に関する情報も得られている。 本年度はこれらの成果を学会や論文誌等で発表することで成果報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は反応前後の触媒表面及び反応分子の化学状態・構造変化を観察することであるが、酸化ガリウム光触媒表面上の銀助触媒の反応前後の変化については TEM、XANES、EXAFSの複合解析より詳細に明らかにすることができた。 反応分子である二酸化炭素分子の吸着状態は、FT-IR測定により明らかにすることを試みており、銀助触媒が二酸化炭素分子の吸着状態へ与える影響に関する重要な知見は得られた。しかしながら、二酸化炭素分子が光照射によってどのように還元生成物へと変化するかについての理解はあまり進まなかった。特に、実際の光触媒反応において大きく関わる水分子の作用や、銀助触媒の状態変化との関連について今後明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は光触媒反応中における経時変化及び時間分解観察によって、二酸化炭素分子の還元過程の詳細を明らかにしていく。水分子の作用や銀助触媒の役割についても明らかにするためには、測定環境の緻密な制御・検討の必要があると考えている。実際の光触媒反応環境に近い、溶液中でのFT-IR測定も試みる予定である。
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