2017 Fiscal Year Annual Research Report
Early Detection System of Children with Autism Spectrum Disorder: Perceptual Infrastructure of Joint Attention
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16J06224
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森 将輝 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 視線知覚 / 数理モデル / 幾何学的性質 / 自閉症児 / アフィン変換 / 発達障害児 / 共同注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、共同注意に関する知覚指標を年齢変化や発達的変化の違いを踏まえ、精緻な数理モデルを構築することを目標としている。共同注意に関する知覚指標として、向かい合う他者の視線方向を取り扱う。作成された数理モデルを用いて、児童の障害の程度や種類により異なる(共通する場合も含む)視線知覚の性質を明らかにすることが目的である。本研究課題のプロジェクト(3年間)の2年次にあたる本年度は、一般成人及び発達障害児(発達障害の疑いのある児童を含む)を対象に行われた実験データを取得し、そのデータを解析した。その結果は、国内学会で発表し、高い評価を得た(第27回日本乳幼児医学・心理学会,東京にて優秀発表賞を受賞)。 また、本年度は、視線知覚に関する基礎的な研究を昨年度より継続し、成果を積み上げた。具体的には、新たに見いだした解析方法を用いて一般成人を対象に行った実験データを再解析した。この成果の一部を招待講演(第65回Cognitive Science Meeting)で紹介した。学術誌に投稿した論文は査読中である(2018年4月5日現在)。この解析方法は、他の知覚・認知空間の性質を探求することもできると考え、一般成人を対象に行った視空間の実験データを解析した。その成果を国際学会(European Conference on Visual Perception 2017, ドイツ)及び国内研究会(Young Perceptionists’ Seminar 2017, 静岡)で発表した。さらに、視線知覚空間に関する研究の基盤である空間知覚の基礎的視座を身に着けるため、視覚誘導性自己誘導感覚に関する研究を行った。その成果は実を結び、学術誌(日本バーチャルリアリティ学会論文誌)に掲載、国際学会(The 33rd Annual Meeting of the International Society for Psychophysics)で発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の2年次終了時において、特に重要な成果は、招待講演1件(視線知覚の諸相)、国際学会発表2件(Geometrical Structure of Gaze Perceptional Space, Anisotropy in Visual Space with Near and Far Landmarks)、国内学会発表1件(発達障害児の視線知覚に関する探索的研究)である。現在、これらの発表等を踏まえ、1本の原著論文が査読中、1本の原著論文を執筆中である。 2年次は、昨年度に今後の課題として掲げた3点をすべて遂行した(1. よりデータを予測することのできる数理モデルを見いだしていく、2. 大学生を対象に、構築した実験プログラムを用いて実験を行うこと、3. 発達障害のある児童を対象に、構築した実験プログラムを用いて実験を行うこと)。このことは、本プロジェクトを計画的に実行できたことを意味すると考えている。行った調査の内容及び目的は次の2つにまとめられる。 (a)視線知覚空間がどのような性質を持つ空間であるかを見いだすために、物理空間と視線知覚空間の間に最適な数理モデルを構成すること。 (b)探索的に発達障害児及び一般成人の視線知覚特性を検討すること。 調査aは、個人差を考慮に入れて、視線知覚空間の実験データを再解析したことである。調査bは、発達障害児(発達障害の疑いを含む、自閉スペクトラム症児、注意欠陥・多動性障害児、ダウン症児など)及び一般成人(大学生)を対象として、第1年度に作成したWindows用ソフトウェア(Visual Basic及びVisual Studio 2016aを用いて作成)を用いて視線知覚の実験データを得たことである。これらの結果に関しては未発表分も含むため、次年度に執筆していく原著論文及び博士論文内で論じたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のプロジェクトは、次年度が最終年度である。次年度は、以下の3点を実施する予定である。 (1)調査aを継続し、新たな数理モデルを構築すること (2)調査bを継続し、発達障害児のデータを追加して取得していくこと (3)調査bを拡大し、定型発達児のデータを追加して取得していくこと これらのデータや解析結果、研究計画1-2年目に得られた成果をもとに、国際学会での発表1件、国内学会での発表2件を行い、論文を2本投稿する予定である。
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Remarks |
森将輝、「視線知覚の諸相」、『第65回Cognitive Science Meeting』、Cognitive Science Meeting、千葉、2017年6月29日(招待講演) 森将輝、「他者の視線を理解する仕組み」、『慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2017』、A38、慶應義塾大学、東京、2017年11月22日~23日(ポスター発表)
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Research Products
(5 results)