2018 Fiscal Year Annual Research Report
建築設計における対話によるデザインのプロセスに関する研究
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16J06229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒谷 粋将 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 対話によるデザイン / コラボレーション / 社会構成主義 / 創造性 / デザインプロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで対話を通した創造的なデザインの方法に関する研究を行ってきたが、本年は複数の主体間のデザイン対象の捉え方が異なることによって、両者がチームの最終成果物に見出す意味や価値の広がりにどのような影響を与えているのかについて分析を行った。 1)社会構成主義に基づくデザインにおける対話のプロセスの捉え方 近代以降、社会一般に大きく広まり現代にも続く実証主義の考え方に対して、「社会構成主義」では人と独立した世界の実在を想定することなく、人が言葉を通して語ることや人と人との関係の中であらゆる物事の意味や価値が作られる、すなわち人々が認知する現実は社会的に構成されると考える。このとき人と人との言葉のやり取りを通した「対話」を重ねることによって、他者の文化的背景や伝統、慣習に目をむけ、自己と他者の相互作用を通した新たな世界の構成が可能となるのである。こうした社会構成主義の考えをもとにして、異なる意図や狙いが込められたアイデアを集め、一つの案へと結実させる対話によるデザインを捉えるための理論的枠組みを構築した。 2)対話における主体間の認識の不一致とデザインの創造性 実験で得られた事例を対象とした分析を行った。特にチームの中でデザインの対象の捉え方が大きく異なるひとつのチームのデザインプロセスを取り上げ、一方のデザイン主体が生成したアイデアがその後のデザイン主体間の対話の中でどのように展開されたのかを詳しく見ていった。その結果、自分たちの提案に対して合意を重ねながらも、対象を捉えるフレームに主体間で大きな差異があることを確認した上で、逆にそうした対象の捉え方の違いがあることが各デザイン主体の異なる役割を発生させ、その結果デザイン対象の価値を様々に異なる視点から見出すことにつながり、デザイン思考の創造的なプロセスに大きく影響することを明らかにすることができた。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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