2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J06299
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
豊永 憲司 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 自然免疫受容体 / 結核菌 / 糖脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高病原性の臨床分離結核菌株に存在するとされる糖脂質phenolic glycolipid (PGL) は、感染局所に菌の増殖に許容的なマクロファージを集積させることで宿主による排除を逃れ、病原因子として機能しうることが報告されている。この許容的マクロファージの集積には、感染局所におけるケモカインMCP-1の産生が重要であると考えられているが、その機能を担うPGL認識受容体は未だ不明である。 PGLが樹状細胞やマクロファージにどのような応答を誘導するかを明らかにするため、これらの細胞をPGLで刺激し、培養上清中に産生されるサイトカイン・ケモカインを解析したところ、炎症性サイトカインであるTNFやIL-6の産生は認められず、ケモカインMCP-1の産生が認められた。さらに我々は、このPGL刺激に伴うMCP-1産生が、ITAM(immunoreceptor tyrosine-based activating motif)を有するアダプター分子Dap12に依存することも見出した。このことから、Dap12共役型受容体がPGL受容体である可能性が示唆されたため、Dap12共役型受容体のイムノグロブリン融合タンパク質を用いて、PGL受容体のスクリーニングを行い、一つの候補としてPGLR(仮)を同定した。PGLRは、Dap12を介して細胞内にシグナルを伝達すると考えられていることから、NFκBプロモーター下に分泌型アルカリフォスファターゼが組み込まれたレポーター細胞に、PGLRとDap12を発現させ、この細胞をPGLで刺激したところ、NFκBの活性化が認められた。また、PGLR欠損マクロファージでは、PGL刺激に伴うMCP-1産生がほぼ完全に消失した。これらの結果から、PGLRがPGLの機能的な受容体であり、MCP-1の産生を介して、結核菌の免疫回避に寄与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高病原性の臨床分離結核菌株に存在するとされる糖脂質、PGLの認識受容体候補を同定できたことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したPGL受容体候補が、実際の感染においてどのような役割を担っているのかを明らかにするため、臨床分離結核菌株を用いた感染実験を行う。
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Research Products
(5 results)