2016 Fiscal Year Annual Research Report
核酸化学を基盤とした新規人工ヌクレアーゼの開発とアンチセンス医薬への応用
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16J06367
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀場 昌彦 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 人工核酸 / トリシクロ骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用初年度の平成28年度に実施した研究は、人工ヌクレアーゼをアンチセンス医薬へ応用するために重要な役割を果たす人工核酸の開発並びに物性評価である。本研究で用いる人工核酸には相補鎖に対する高い二重鎖形成能と優れた分解酵素耐性能が求められる。人工核酸scpBNAはこれらの用件を満たす人工核酸であり、これまでにチミン及びメチルシトシン塩基を有するモノマーの合成法が確立されている。本年度は如何なる配列においても適用できるようにアデニン及びグアニン塩基を有するモノマーの合成を達成した。得られたscpBNAモノマーをオリゴヌクレオチドへと導入し、物性評価を行ったところ、scpBNAは核酸塩基非依存的に高い二重鎖形成能と分解酵素耐性能を獲得していることが明らかになった。また、scpBNAの物性を更に向上させるように設計したトリシクロ骨格を有する人工核酸の開発にも着手した。本分子はscpBNAに見られる核酸糖部の固定化に加えて、リン酸部の自由度を抑制する化学修飾を施しており、scpBNAを超える二重鎖形成能が期待できる。当初計画していた架橋ビシクロ体を中間体とする合成経路では、予定とは異なるジアステレオマーが得られたために以降のトリシクロ骨格の構築は不可能であった。そこで、縮合ビシクロ体を経由する経路へと変更し、環形成の順序を逆にする方法でトリシクロ型人工核酸の合成を行った。その結果、文献既知化合物から全14工程、収率13%でトリシクロ体を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工ヌクレアーゼを応用するための基盤として重要な人工核酸scpBNAの各種塩基導入モノマーの合成、物性評価及びトリシクロ型人工核酸の合成が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回合成を達成したトリシクロ型人工核酸を導入したオリゴヌクレオチドを合成し、各種物性評価を行う。また、人工ヌクレアーゼの合成を行い、一本鎖DNA及びRNAに対する切断活性評価を行う。
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