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2016 Fiscal Year Annual Research Report

免疫抑制剤を用いない皮下への膵島移植の実現

Research Project

Project/Area Number 16J06573
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

桑原 令  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2016-04-22 – 2018-03-31
Keywordsランゲルハンス氏島 / 膵島 / 糖尿病 / 血糖値 / 細胞移植 / 皮下移植
Outline of Annual Research Achievements

免疫抑制剤を用いない皮下膵島移植の実現を目指して研究を行ってきた。以前より実施してきた実験系であるドナーをF344ラット、レシピエントをACIラットとした系統の組み合わせではなく、新たにドナーをWistar ラット、レシピエントをLewis ラットとした組み合わせについて検討した。塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を担持したアガロースロッドを薬剤によって糖尿病を誘発したLewisラットの皮下に埋め込むことで、Lewisラットの背部皮下部位に血管や肉芽状の組織が形成された。形成された移植部位にWistarラットの膵島を移植すると、5匹中すべてのレシピエントで免疫抑制剤を一切使用することなく、血糖値を100日以上正常化することができた。移植後100日における移植部位のH&E染色とインスリンの免疫染色から移植後長期に渡り移植膵島が皮下において長期に生着していることがわかった。これらの結果から、新たな系統の組み合わせにおいても本研究の有用性が示された。
皮下部位に移植部位を作製し、膵島を移植する本手法をより低侵襲化するために生分解性の素材を用いたデバイスを検討した。糖尿病を誘発したACIラットの皮下にゼラチン膜を挿入し、bFGF、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液の混合液を注入することで血管や組織の形成することができた。ACIラットの背部皮下に形成された移植部位にF344ラットの膵島を移植したところ、9匹中8匹のレシピエントで免疫抑制剤を一切使用することなく血糖値を100日以上正常化することができた。移植後30日及び移植後60日におけるH&E染色とインスリンの免疫染色から、いずれの日数においても移植膵島が皮下において生着していることが確認された。以上の結果から、本手法におけるデバイスは新規の生分解性デバイスとして期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度においては、薬剤担持ハイドロゲルデバイスを用いてラットの皮下に形成した移植部位に膵島をする、同種異系の膵島移植実験を主に行った。
今まで行ってきたドナーをF344ラット、レシピエントをACIラットとした系統の組み合わせではなく、Wistar ラット、レシピエントをLewis ラットとした新たな系統の組み合わせにおいても、免疫抑制剤を一切使用することなく皮下において長期に膵島を生着させることに成功し、本研究の有用性を示すことができた。現在、成果をまとめた論文を投稿予定である。
また、生分解性デバイスの検討に関しては現在推進中ではある。しかし、本年度において新規のデバイスを用いて、ACIラットの皮下に血管の豊富な移植部位を作製し、その部位にF344ラットの膵島を移植することで長期にレシピエントの血糖値を下げることが可能であることを示した。従来のアガロースゲルではなく、新規に検討した生分解性デバイスによっても、皮下に免疫寛容環境が形成されることを見出した。これらの結果から、今後の成果が十分に期待できる段階にあると考えられる。本年度の成果について、日本バイオマテリアル学会シンポジウム2016にて発表した。今後、研究成果をまとめた論文を執筆する予定である。

Strategy for Future Research Activity

本研究の臨床応用を目指すにあたって、薬剤担持ハイドロゲルデバイスによる免疫寛容環境形成機序の詳細な解析を進め、形成機序を明らかにする必要があると考えられる。今後、より詳細に免疫学的な解析を進めるために、遺伝子改変種や各種抗体が豊富なマウスでの実験系を確立することを目指す。現在、レシピエントにBALB/cマウスを、膵島のドナーにC57BL/6(B6)マウスを用いた実験系において、bFGF担持アガロースロッドを用いて皮下に血管が豊富な移植部位を作製し、その部位にB6マウスの膵島を移植することで免疫抑制剤を一切使用せずに膵島をBALB/cマウスの皮下に長期に生着させることを検討しているところである。今後、成果をまとめ報告する予定である。
また、ラットにおける生分解性デバイスを用いた皮下への膵島移植実験において、長期の経過観察をする予定である。今後、ACIラットの皮下においてデバイスを長期に留置し、異なる留置期間によるデバイスの分解量を調べる。また、皮下において長期に生着した移植膵島の組織学的な検討や、レシピエントACIラットの血漿中のインスリン濃度や、腹腔内糖負荷試験を行うことで移植膵島の機能評価を行い、本研究における生分解性デバイスの有用性を示したいと考える。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 環状ペプチド担持デバイスにより皮下に作製した免疫寛容部位とその部位への膵島移植2017

    • Author(s)
      桑原 令、岩田 博夫
    • Organizer
      第16回日本再生医療学会総会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター (宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2017-03-08
  • [Presentation] 生分解性デバイスを用いた皮下への免疫寛容部位作製とその部位への膵島移植2016

    • Author(s)
      桑原 令、岩田 博夫
    • Organizer
      日本バイオマテリアル学会シンポジウム2016
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場 (福岡県福岡市)
    • Year and Date
      2016-11-21
  • [Presentation] Induction of immune tolerance site under the skin by agarose rods with cyclic peptide and islets transplantation into the sites2016

    • Author(s)
      Kuwabara R, Iwata H.
    • Organizer
      52nd European Association for the Study of Diabetes Annual Meeting
    • Place of Presentation
      Messe Muenchen (Munich, Germany)
    • Year and Date
      2016-09-15
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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