2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノダイヤモンドを用いた高屈折率・高アッベ数ハイブリッド材料の創製
Project/Area Number |
16J06696
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
榎本 航之 山形大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | エポキシ樹脂 / 有機-無機ハイブリッド / ナノ分散 / 屈折率制御 / 屈折率勾配特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、高分子グラフト微粒子のグラフト密度を計算するモデル式から、無機ナノ微粒子のサイズ変化が表面処理剤の体積分率に与える影響を考察し、粒子径が10 nm以下のナノ微粒子では表面修飾後のナノ微粒子全体の屈折率が大きく低下することを予測した。一方で、本研究で調製したZrO2/エポキシハイブリッド材料では修飾剤による屈折率低下は起こらず、充填されたフィラーはバルク材料と同程度の屈折率(n= 2.1)を有していることから、他のハイブリッド化手法に比べて大きな優位性があることを明らかとした。 申請者は上記で得られたハイブリッド材料のうち、脂環式エポキシ樹脂であるCELをベースにしたものの屈折率がZrO2を高充填した領域で理論値を上回る結果が得られることに着目した。ドロップキャスト法により試料厚を変化させると、膜厚が減少するにつれてより顕著に屈折率増加を発現することがわかった。この減少について、基材、ベース樹脂、湿度、および重合温度の影響を検討した。その結果、湿度と重合温度が屈折率増加に大きく寄与することが明らかとなり、本現象の発現メカニズムがフィルム調整過程で酸無水物系硬化剤の一部が加水分解し、エポキシ当量性がズレたことで系内の架橋度を低下させること、さらに、重合過程において無機ナノ微粒子が表面へ遊離するのに十分な温度を与えることの2条件で屈折率増加が起こることを明らかとした。 さらに得られたハイブリッドフィルムの内部構造評価について、プリズムカップリング法により得られる導波モードピークを解析する子で試料表面から深さ方向に対する屈折率分布を計算した。その結果、ZrO2ナノ微粒子がハイブリッドフィルム表面で濃縮し、樹脂内部にいくにつれて濃度が連続的に低下するといった濃度勾配を有する屈折率勾配特性を有していることが明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微粒子直接分散法による高屈折率・高アッベ数を有するハイブリッド材料の創製について研究を行い、筆頭著者解説誌1報、筆頭著書4冊の提出および招待講演1件、学会発表3件を行った。第65回高分子年次大会では優秀ポスター賞を受賞するなど大きなインパクトがあった。さらに第65回高分子討論会では、光学材料において重要な特性の一つである屈折率勾配を発現する条件とメカニズムについて詳細に検討を行うなど、新たな知見を得ることに成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ナノダイヤモンド含有ハイブリッド材料の創製およびその光学特性評価、また、無機ナノ微粒子を含有したハイブリッド材料の光学特性の予測理論の構築に取り組む。さらに、屈折率勾配材料について得られた事実から、ハイブリッド材料内で、ナノ微粒子の分散分布を制御する方法についても検討する予定である。
|
Research Products
(9 results)