2017 Fiscal Year Annual Research Report
高密度星磁気圏での電磁場エネルギー散逸機構と高速電波バーストの起源の解明
Project/Area Number |
16J06773
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
木坂 将大 青山学院大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 中性子星 / 連星中性子星合体 / ショートガンマ線バースト / 高速電波バースト |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子星やブラックホールなどの高密度天体に見られる活動性は、その天体が持つ強い磁場が深く関係していると考えられている。本研究の目的は、高密度天体が周囲に形成する磁気圏において電磁場のエネルギーから粒子のエネルギーへ変換、さらに電磁波として放射される一連の機構に対して解析的モデルによる解析、粒子シミュレーション等から迫ることである。 1. 中性子星連星の合体後に形成するブラックホールから放出される相対論的ジェットからの放射と考えられているショートガンマ線バーストに対し、我々が提案した理論モデルを観測データに適用した結果、中心天体の活動に起因すると考えられる 2 つの長時間放射成分が普遍的に存在することを明らかにした。また、得られた結果をもとに長時間放射成分とその散乱成分のフラックス分布を求め、現在稼働中の重力波望遠鏡の重力波が検出可能な範囲で SGRB が起きた場合にX線で検出できる割合を明らかにした。 2. 連星中性子星合体からの重力波イベント GW170817 に付随したガンマ線イベント GRB 170817A の観測データに対し、ショートガンマ線バーストの散乱された成分と解釈できる可能性を提案した。これにより、今回検出された連星中性子星合体イベントに典型的なショートガンマ線バーストが付随していた可能性を示した。 3. 高速電波バーストの候補でもある中性子星からの巨大電波パルスの電波とX線の同時観測データに対し、放射に寄与している粒子数に対する制限を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、連星中性子星の合体に伴う重力波が初めて検出され、これに伴う幅広い帯域の電磁波も同時に検出された。この新たな情報により、連星中性子星合体に伴うエネルギー解放現象に対する定量的な制限がはじめて得られた。本研究では連星中性子星の合体に伴うエネルギー解放現象の解明が主要な目的の一つであり、今後粒子シミュレーションで扱う際に、とるべきセットアップを想定以上に明確にすることができた。シミュレーションコード開発はやや遅れているが、総合的にみれば当初の想定通りの進展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
繰り返す高速電波バースト天体に対する観測、連星中性子星の合体に伴う電磁波の観測により、高速電波バーストが起こりうるパラメーター範囲に対する制限は当初の想定以上に強くなった。今後も観測が大きく発展することが期待されるために解析的な手法などによりさらにパラメータ範囲を絞り込む研究を進めるが、粒子シミュレーションのコード開発がやや遅れていることからこちらを優先的に進め、電磁カスケードの結果としてのプラズマ粒子のエネルギー分布の電流依存性を明らかにした上で、可能性のあるコヒーレントな電波放射の機構について調査を行うことを予定している。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Hitomi X-ray studies of Giant Radio Pulses from the Crab pulsar2018
Author(s)
Felix Aharonian, Yukikatsu Terada, Teruaki Enoto, Shu Koyama, Aya Bamba, Toshio Terasawa, Shinya Nakashima, Tahir Yaqoob, Hiromitsu Takahashi, Shin Watanabe, Kenya Oshimizu, Mamoru Sekido, Kazuhiro Takehuji, Eiji Kawai, Hiroaki Misawa, Fuminori Tsuchiya, Ryo Yamazaki, Eiji Kobayashi, Shota Kisaka, Takahiro Aoki et al.
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 70
Pages: 15~15
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 2017.11.7 Crab pulsar large glitch観測速報(2): 波形変化の有無検証2018
Author(s)
木坂将大, 榎戸輝揚, 寺澤敏夫, 徳丸宗利, 俵海人, 岳藤一宏, 関戸衛, 三澤浩昭, 土屋史紀, 村田泰宏, 竹内央, 米倉覚則, 青木貴弘, 新沼浩太郎, 藤澤健太, 本間希樹, 小山友明, 柴田晋平, 浅野勝晃, 田中周太
Organizer
日本天文学会 2018年春季年会
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