2016 Fiscal Year Annual Research Report
内部ひずみその場計測に基づく高精度複合材成形解析システムの構築
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16J06804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹羽 翔麻 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | CFRP / FBGセンサ / 複合材成形メカニズム / 成形シミュレーション / 硬化度 / 示差走査熱量測定 / 内部ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
埋込光ファイバセンサによる内部ひずみ計測に基づいて,複合材成形中における材料物性挙動を解明しそれをモデル化することが初年度の目的である. まず、複合材成形中の材料物性挙動の温度と硬化度への依存性を調べた.埋込光ファイバ内部ひずみ計測に基づく物性値推定手法を用いて,成形中の物性値挙動を様々な成形温度下で取得した.また,それぞれの成形温度に対し,母材となるエポキシ樹脂の硬化度を示差走査熱量測定( DSC)によって計測し,成形中の物性挙動を成形温度と硬化度に対して整理し,データベースを作製した.結果,同一硬化度では成形温度が小さいほど剛性は高く,同一温度では硬化度が小さいほど剛性が低いという傾向がみられた. 次に任意の成形プロセスに対して本手法で用いた結果を適用するための検証を行った.まず,90℃から130℃まで徐々に変化させるプロセスに対してDSC試験を行い,硬化度と温度の組み合わせを求めた.この組み合わせを満たす物性値をデータベースから求め,成形解析を行い実験値と比較した.FBGセンサを用いた内部ひずみ比較と,成形中の片持ち梁の反り変形比較の二種類の検証を行った.結果,大まかな傾向は一致したが,変形が硬化収縮支配から熱膨張支配に移行するタイミング,収縮ひずみの大きさなど,実験とのエラーが確認された.確認のため,採用プロセスで成形中の試験片にFBGセンサを埋め込み,内部物性値の推定を行った.この物性値を用いて同様の比較を行ったところ,実験と非常に良い一致を示した.以上から,硬化度計測はその場計測ではない手法を用いているために生じる実成形とのエラーが解析精度を落としていると考えられる.誘電分析など,その場計測で硬化度を計測する手法を試みることで改善が可能と考えられるため,次年度の課題としたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度の研究目標は,埋込光ファイバセンサによる内部ひずみ計測に基づいて,複合材成形中における材料物性挙動を解明しそれをモデル化することであった. まず,複合材成形中の材料物性挙動の温度と硬化度への依存性を調べた.埋込光ファイバ内部ひずみ計測に基づく物性値推定手法を用いて,成形中の物性値挙動を様々な成形温度下で取得した.また,それぞれの成形温度に対し,母材となるエポキシ樹脂の硬化度を示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC)によって計測し,成形中の物性挙動を成形温度と硬化度に対して整理し,データベースを作製した.結果,同一硬化度では成形温度が小さいほど剛性は高く,同一温度では硬化度が小さいほど剛性が低いという傾向がみられた.さらにこの結果を用いて,任意の成形プロセスに対して成形シミュレーションを行い,内部ひずみと形状の比較試験によって妥当性を検証した.これらの成果から,第1年度の進捗としては概ね順調であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度の研究方策は,初年度で得た物性モデルを統合して汎用的な成形シミュレーションシステムを構築することである.任意の硬化度・温度に対して成形のシミュレーションが可能な汎用的なシステムを目指す.最終的には航空機のスキン-ストリンガ構造を模擬した大規模な構造に対してシミュレーションを行い,結果が実成形物と一致することを検証する. さらに複合材料の成形について別視点のアプローチとして,L字部材のコーナー部の厚さ変形を計測するために,埋め込み光ファイバを利用した曲げセンサを利用する研究も平行して行う予定である.この研究によって,コーナー部における複雑な成形メカニズムの知見を得られればシミュレーションの精度が向上する可能性がある.
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Research Products
(3 results)