2016 Fiscal Year Annual Research Report
標的DNA検索機構の理解に向けた核内環境のライブセルイメージング
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16J07205
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
野﨑 慎 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | クロマチン / 転写因子 / 超解像イメージング / 1分子イメージング / 標的DNA検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,クロマチン環境によってタンパク質による標的DNAへのアクセスが制御される仕組みを理解することである.そこで本研究では,クロマチンの超解像イメージングと,転写因子の1分子イメージングを基軸とし,それらの関係性についての研究を進めている.採用1年目である2016年度は,本研究の基盤技術となる生細胞におけるクロマチン構造の超解像イメージングと転写因子の1分子イメージングに関する技術の確立に注力した.まず,クロマチン環境と転写因子のアクセス制御の関係性を明らかにするためには,生細胞におけるクロマチン超解像イメージングが必須となる.回折限界を超えたクロマチンの超解像イメージングを実現するために,ヌクレオソームの1分子イメージングを確立し,それを基にしたPALM (photoactivated localization microscopy) の確立を行い,生細胞におけるクロマチンの超解像イメージを作成することに成功した.生細胞の核内における転写因子の動態を観察するために,真核生物における転写制御因子の一つであるc-junに着目し, c-junの1分子イメージングを行うことが可能な細胞の作成と観察を行った.その結果,核内におけるc-junは自由拡散によって非常に速く移動している成分と,DNA上に結合し非常に遅く移動している成分の2成分から構成されていることが明らかとなった.自由拡散によって移動しているタンパク質とDNA上に結合しているタンパク質の拡散係数と比較した結果,それぞれ類似していることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画していたクロマチン超解像ライブセルイメージングの確立と転写因子1分子ライブセルイメージングの確立を達成することができた.さらに、1分子ライブセルイメージングのデータを解析するためのパイプラインを確立し,転写因子の動態から性質を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立したクロマチン構造の超解像ライブセルイメージングと,c-junの1分子ライブセルイメージングを統合し,同時にそれらの観察・解析を行うことで,クロマチン環境と転写因子の動態の関係性を明らかにする.また,クロマチンの修飾状態を変化させるTrichostatin A (TSA)やクロマチン関連タンパク質のノックダウンを用いることで,クロマチン環境が変化したときに,転写因子の動態がどのように変化するかについても解析を行う予定である.
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Research Products
(4 results)