2016 Fiscal Year Annual Research Report
含ケイ素生物活性化合物の有用性の検討と高周期第14族元素の創薬化学への応用
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16J07278
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
外山 大純 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ケイ素 / Sila-substitution / 核内受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬候補化合物の創製において、化合物の炭素をケイ素に置換すること(Sila-substitution)は、炭素とケイ素の原子半径や電気陰性度、脂溶性等が異なることから、活性、選択性、体内動態などの変化・改善をもたらす可能性がある。 本年度は、様々な核内受容体に作用する低分子化合物として知られているT0901317(T1317)に着目し、T1317のヘキサフルオロヒドロキシプロピル基をシラノール基に置換した化合物2、および、対応するカーボネート体3をデザイン・合成し、核内受容体に対する活性を精査することを行った。 HEK293細胞を用いたルシフェラーゼレポータージーンアッセイにて化合物の核内受容体に対する活性を評価したところ、T1317には報告どおりLXRα/β、FXR、PXRに対してアゴニスト活性が、RORγに対してインバースアゴニスト活性が認められた。一方、化合物3にはLXR、FXR、PXR、RORのいずれの核内受容体にも有意な活性が認められなかった。しかしながら、シラノール構造を有する化合物2にはFXRアゴニスト活性、RORα/β/γインバースアゴニスト活性、PXRアゴニスト活性が認められた。 HPLCを用いて算出したLogP、計算ソフトMOPACを用いて計算した分子体積、計算ソフトACD/Chemsketchを用いて計算したpKaより、脂溶性・酸性度共にT1317>シラノール2>アルコール3の順に高いことが示唆された。また、報告されているT1317とhLXRα/β、hPXR、hRORγとのX線結晶構造を用いたドッキングシミュレーションの結果、および、活性評価と物性評価の結果を踏まえると、PXRの活性にはOH基周辺の疎水性が重要であるが、LXRの活性には疎水性とOH基の高い酸性度の両方が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成困難な新規含ケイ素有機化合物の合成と活性評価、および、物性評価を進展させることができた。 しかしながら、シラノール、および、カーボネート誘導体の合成に若干難航しているため、より精力的に合成を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、シラノール2のN上の置換基を種々のアルキル基などに変換した化合物の合成を行っており、更なる構造活性相関の取得を目指している。また、比較対象として対応するカーボネート体の合成も行っている。 化合物の合成が完了次第、活性評価と物性評価を行い、炭素をケイ素に置換したことによる活性への影響をディスカッションしていきたいと思う。 また、今年度の新たな研究課題を考案し、更なる含ケイ素生物活性化合物の有用性の検討を行いたいと思う。
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