2016 Fiscal Year Annual Research Report
植物RNAiに関わるRNAポリメラーゼRDR6が異常RNAを識別する分子機構
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16J07290
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
BAEG KYUNGMIN 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | RNAサイレンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物には二次的小分子RNA増幅機構が存在する. この機構はRISCによって切断されたmRNA, ウイルスRNA, 外来遺伝子由来のRNAといった「異常なRNA」に対して作動する. それらのRNAはRNA依存性RNAポリメラーゼ6(RDR6)によって相補鎖が合成され二本鎖化した後, Dicer様タンパク質によって21塩基および22塩基の小分子RNAに裁断される. これらの二次的小分子RNAは新たなAGOとRISCを形成することで, 標的の遺伝子発現を強く抑制する. しかしながら, なぜ細胞内に存在する「正常なRNA」はRDR6の鋳型にならず「異常なRNA」のみ鋳型になるのかという重要問題は未だ解決されていない状況であった. ところで, リコンビナントRDR6を用いてRDR6の機能を解析した結果, RDR6はpoly(A)を持たないRNAのみを選択的に鋳型とし, 相補鎖を合成することが明らかとなった. 今年度は「RDR6の鋳型特異性」を生化学的手法を用いて詳細に解析した. 解析により, RDR6は相補鎖合成の開始段階においてpoly(A)鎖を持つRNAを排除することが明らかとなった. そして, RDR6は8塩基以上のpoly(A)鎖を鋳型として認識しないことが明らかになった. ここまでの結果を纏めて科学雑誌に投稿し, 公開された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最終目標は, 「RDR6の鋳型選択機構を詳細に理解する」ことである. 当初の計画通り生化学手法を用いた実験で, RDR6の酵素活性は詳細に解析できている. しかしながら, RDR6は細胞内において単独で働くわけではなく, 様々な因子らと共に二次的小分子RNA増幅機構に関わっている. 従って細胞実験でのRDR6働きを観察することは重要であるが, 実験系の構築が非常に難しかった. 植物細胞での実験は進めなかったが, 生化学手法を用いて分かってきたRDR6の性質を論文として纏めたため, 概ね順調であると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は, 当初の計画通り, 鋳型RNA選択に関わるRDR6の機能ドメインの同定する. 具体的に, RNA認識モチーフを欠損したRDR6を用いてゲルシフト法及びフィルターバインディング法でRNAとの相互作用を調べる. そして, 植物細胞抽出液を用いて二次的小分子RNA増幅メカニズムに関わる因子らをin vitro翻訳させ, 「RISCによる切断→RDR6による相補鎖合成」という諸過程の産物を検出する実験系を構築する. この系の構築により, 細胞内でのRDR6の役割を詳細に理解できると考えられる.
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Research Products
(3 results)