2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J07354
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
養田 大騎 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | バレートロニクス / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は主に以下の2つについて研究を行った。 (1)前年度から続いてカイラル結晶のタイトバインディング模型を用いた電流誘起軌道磁化とソレノイドのアナロジーについて研究を行った。軌道磁化と電流の間の応答係数は緩和時間に依らず、結晶の格子定数と無次元量によって特徴づけられることを明らかにした。またこの無次元量は結晶の幾何学的な構造によって軌道磁化が増強される度合いとみなすことができ、軌道磁化を誘起する能力を定量的に比較することが可能となる。カイラル結晶を古典的なソレノイドと解釈すると、無次元量は単位胞中のソレノイドの巻き数と解釈することができる。また軌道磁化はワイル半金属において複数のワイル点がフェルミエネルギーに近づくときに発散的に大きくなることを明らかにした。この研究成果については平成29年度に論文として出版された。 (2)反転対称性の破れた2次元フォトニック結晶について研究を行った。特に三角形の空気穴を三角格子状に配置したフォトニック結晶におけるK点とK'点のバレーが持つ性質について調べた。まず初めに空気穴の形状を丸から三角にし反転対称性を破ることによって、K点とK'点で質量のあるディラック分散が現れ、このときK点とK'点で逆向きのベリー曲率が生じることを明らかにした。また互いに反転した2つのフォトニック結晶の界面に生じるエッジモードについて解析を行った。続いてK点とK'点における角運動量を調べた。K点とK'点では反転対称性の有無に関わらずポインティングベクトルが渦を巻くようなモードが現れる。このとき反転対称性を破ることによってフォトニック結晶のユニットセル平均した角運動量が有限になることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目の電流誘起軌道磁化については近年第一原理計算や実験に関する研究が報告されており、本研究はそれらに定量的かつ直観的な解釈を与える基礎的かつ重要な結果であると考えられる。2つ目の研究については従来のハニカム構造を用いた研究より一般的な結果であり、先行研究よりも簡単な構造で実現できるという点で重要であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
カイラル結晶とソレノイドのアナロジーからさらに空間分散の絡んだカイラル結晶における電磁応答、例えばインダクタンスなどについて研究を行う。また空間反転対称性の破れたフォトニック結晶におけるバレーや角運動量に依存した現象をさらに探索する。特にフォトニック結晶中の角運動量を偏光や力学的なトルクなどに変換し、実験的に検証する方法を探る。
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Research Products
(5 results)