2016 Fiscal Year Annual Research Report
植物の栄養分配に関わる膜輸送体タンパク質の構造機能解析
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16J07405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 勇燦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 輸送体 / 膜タンパク質 / 結晶化 / 葉緑体 |
Outline of Annual Research Achievements |
TPTの構造解析に用いる結晶作製を目指し、まずは溶液中で安定なTPTホモログタンパク質のスクリーニングを行った。複数の植物由来のTPTホモログ遺伝子を種々の発現ベクターに導入し、酵母および昆虫細胞を用いた発現系の構築を行った。目的タンパク質にGFPを融合することにより、蛍光検出ゲルろ過クロマトグラフィー法による性質評価を行えるようにした。酵母および昆虫細胞による発現量の比較の結果、両者において一定の発現が見られるものの、昆虫細胞においてより高い発現量が得られることが分かった。そのため、タンパク質の性質評価には扱いが容易な酵母を用いた後、大量発現および精製には昆虫細胞を用いることとした。酵母における網羅的な発現スクリーニングを行ったところ、イネ、ダイズ由来のTPTホモログタンパク質が高い熱安定性を示した。これらに関して、種々の界面活性剤による可溶化条件の検討をしたところ、非イオン性界面活性剤によって可溶化したときに最も良い挙動を示すことが分かった。そのため、これらのTPTホモログタンパク質を昆虫細胞によって大量に発現し、非イオン性界面活性剤による可溶化とアフィニティークロマトグラフィーによる精製を行った。これらの精製サンプルを用いて脂質キュービック相法による結晶化を試みたが、結晶は得られなかった。そこで、他の複数の生物種由来のTPTホモログタンパク質に関しても精製と結晶化を行った。その結果、藻類由来のTPTに関してX線を回折する良質な結晶が得られた。この結晶に関して、SPring-8においてX線回折実験を行い、高分解能の回折像を得ることに成功した。このデータに関して位相決定を行うことによって、TPTのX線結晶構造を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り様々な生物種からTPTをクローニングし、発現系の構築に成功した。また、可溶化条件の検討の結果、数種類の植物由来TPTを精製することに成功した。それらを精製・結晶化し、X線結晶構造を決定することに成功した。したがって、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き現状の結晶の改善を行いつつ、基質との共結晶化や構造に基づく機能解析を進める。
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Research Products
(1 results)