2016 Fiscal Year Annual Research Report
リゾフォスファチジン酸受容体によるリガンド認識機構解明と創薬への応用
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16J07583
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 怜哉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / Gタンパク質共役型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請内容の通り、本研究ではリゾホスファチジン酸受容体LPA6を標的とし、その結晶構造に基づきLPA分子の認識機構を理解することを第一の目的としている。申請時点でLPA6の精製、結晶化に成功していたことから、本年度は結晶化条件の最適化と回折データ収集、データ解析を進めてきた。精製方法、結晶化条件の検討を進めた結果、良質な結晶を再現よく産生することに成功した。単独の結晶からでは十分なデータが得られなかったことから、多数の結晶からのデータを統合することで完全なデータを得る戦略をとった。240個を超える数の結晶より大型放射光施設SPring-8 BL32XUにてX線回折データを測定し、これらを統合したところ、3.2 Åという十分な分解能でLPA6の構造を決定した。 LPA6の構造は、膜貫通ヘリックス(TM)4とTM5の間に、脂質膜に向かって大きく開いた疎水的な溝を持っており、この溝は受容体中央のリガンド結合ポケットとつながっていた。このことから、LPA分子のアシル鎖がこの疎水的な溝で認識されていることが示唆された。このような脂質性リガンドの認識機構はこれまで構造情報が得られているどのGPCRにも見られない、新規なものである。今後はこの示唆されたリガンド認識機構を、変異体解析を通して検証していく。本研究によりLPA受容体によるリガンド認識機構が明らかになれば、創薬科学、脂質シグナリングの両分野における研究を大きく進展させることができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、条件検討の末に3.2 Åという十分な分解能でLPA6の構造を決定した。予想に反してリガンドは結合していなかったものの、リガンド結合様式についての十分な示唆が得られたことから、リガンド認識機構という目的の達成には近づくことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的にリガンド結合様式を検証するため、リガンド結合に関わると予想されるアミノ酸残基の変異体を作成し、in vitroでのリガンド結合実験系や細胞を用いての活性評価系を用いることで、その受容体としての機能を評価する。リガンド結合や受容体の活性化に大きく影響する残基を実験的に特定することで、想定されるリガンド認識機構が妥当か否かを検証する。現在変異体の作成に着手しており、また、放射性同位体ラベルされたLPA分子を用いての予備的な結合実験も開始している。結合実験においては、LPA分子が疎水的であることから非特異的な結合が強く見られることが予想される。そこで、精製タンパク質をaffinity tagを使って回収する方法の利用や、高親和性のLPAアナログを用いることによる非特異的結合量の測定などにより、特異的な結合のみを定量できる系を構築することを計画している。
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