2017 Fiscal Year Annual Research Report
LHC-ATLAS実験における標準模型を超える重いヒッグス粒子の探索
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16J07774
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
留目 和輝 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 超対称性 / 電弱ゲージーノ / LHC-ATLAS実験 / 高エネルギー加速器実験 / 素粒子実験 / CERN |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に行った2光子に崩壊するチャンネルを用いた重いヒッグス粒子の探索研究により、一昨年度に見られた新粒子由来かと期待された信号は、統計的ふらつきによるものであったと結論付けられた。これを確かなものにするため、本年度の初めにはIsolationと呼ばれる変数を用いた背景事象の割合の評価について、最終的な結論を出し、論文への寄与をした。この論文については現在も編集作業が進行中である。 並行して、2光子崩壊チャンネルでの知見を活かし、SUSYで予言される粒子である電弱ゲージーノの探索も行った。私が参加したのは終状態がレプトンと2光子及び消失エネルギーからなるチャンネルである。解析においては、信号事象と背景事象の特徴の理解から、解析手法の開発及び検証、解析結果の解釈等、参加したチャンネルで必要とされる研究課題のほぼ全てを私が行った。 まず信号事象と背景事象の特徴に関する研究の結果、bクォーク由来のjetを含む事象を除外することで、信号事象にはほとんど影響を与えずに、一部の背景事象を大幅に制限できることができることが分かり、新たな事象選別基準として導入された。解析手法の開発においては、適切に信号領域を分けることで、従来に比べ最大300%程度感度を向上させることに成功した。その後行った信号領域の評価では、標準理論で予想される事象数に比べ、僅かながら超過が見られた。そこで、見られた逸脱が信号由来だと考えた場合の統計的有意性と、背景事象由来だったと考えた場合にできる理論に対する制限それぞれに関して評価を行った。理論に対する制限は、今回見られた逸脱の為に先行研究から更新することはできなかったものの、超過の統計的有意性は、仮定によっては2.8σ程度になった。今後より高統計のデータを用いて、この逸脱が統計的ふらつき由来か、それとも新粒子由来であるのかを評価することが非常に重要となる結果である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)