2016 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物からのエンドサイトーシスを標的とした活性物質の探索および作用機序の解明
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16J07837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周防 玲 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋天然物 / カイメン / 3Y1細胞 / 液胞形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養細胞は投与する化合物の作用機序の違いにより、特徴的な形態変化を示すことが知られていることから、細胞の形態変化に着目した生物活性試験は有益な化合物探索の手法である。所属研究室では、これまでに細胞の形態変化を指標とした生物活性試験を用いて、海綿動物からエンドサイトーシスに異常をきたし、液胞形成を誘導した後に細胞死を導く化合物を発見した。この研究成果をもとに、本研究では更なるエンドサイトーシスを標的とした活性物質の探索をおこなうとともに、液胞形成化合物が誘導した生命現象の詳細なメカニズムを明らかにすることを目的とした。
本研究では、生物活性物質の存在下で様々な表現型を示す3Y1ラット繊維芽細胞を使用し、活性物質の探索をおこなった。はじめに、所属研究室が所蔵するカイメン抽出液ライブラリより活性物質の探索を試みた結果、数種のカイメン抽出液が顕著な液胞形成誘導活性を示した。その中で、エンドサイトーシスに作用する化合物を効率的に選択するため、細胞膜、ミトコンドリア、小胞体、アクチンの各種オルガネラを特異的に標識する蛍光タンパク質プラスミドをHeLa細胞にそれぞれ形質転換し、安定株の作製を試みた。その結果、小胞体、細胞膜を蛍光標識した細胞の安定株を得た。
続いて、既に構造決定し、液胞形成誘導活性を示した化合物の類縁化合物を、タイムラプスイメージングを用いた生物活性試験に供し、類縁化合物との生物活性を比較した。その結果をもとに、アクチンを用いた構造変換をおこない、液胞形成に関与すると考えられる部分構造を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数の海洋生物の抽出物あるいはその分画物を、培養細胞に対する作用をタイムラプスイメージングを用いて観察し、特異的な作用を示す化合物を探索した。その結果、目的とする活性を有している可能性のある化合物を多数検出することができた。 また、液胞形成を誘導する化合物に関して、この化合物に特有な部分構造を別の海洋天然物から誘導化することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングおよび単離研究は順調に進んでいるため、前年度までの方針を踏襲する。
得られた液胞形成誘導化合物を、蛍光標識した細胞を用いて、タイムラプスイメージングを用いたスクリーニング試験をおこない、液胞形成に関連するオルガネラを推定する。
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