2017 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物からのエンドサイトーシスを標的とした活性物質の探索および作用機序の解明
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16J07837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周防 玲 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋天然物 / カイメン / 3Y1細胞 / 形態変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では3Y1細胞を用いて、エンドサイトーシスに関与する分子の探索をおこなった。 当研究室で保有するカイメン由来の抽出物ライブラリを用いて、培養細胞の形態変化を指標に活性試験をおこなったところ、Characella 属カイメンの抽出液が、V-ATPaseを標的とした化合物群に共通する特徴的な形態変化を示した。そこで、試料を抽出し、順次ODS フラッシュカラムクロマトグラフィー、逆相HPLC により精製し、活性物質としてpoecillastrin H を単離した。本化合物は、光に対して非常に不安定であったため、精製は遮光条件下でおこなった。各種NMR スペクトルデータの解析によって、poecillastrin H の構造を決定した。Poecillastrin H は分子内にペンタエン構造を有し、この部分が不安定性をもたらすことがわかった。 引き続き、形態変化を指標に活性試験をおこなったところ、三浦半島で採取されたMycale 属カイメンの粗抽出液がアクチンを標的とする化合物群に特徴的な細胞の表現型を誘導した。そこで、Mycale 属カイメンを抽出し、生物活性を指標にODSフラッシュカラムクロマトグラフィー、逆相HPLC により順次精製し、2 種類の新規マクロライド、miuramide A およびB を単離した。1H NMR スペクトルにおいて、miuramide 類はトリオキサゾール含有マクロライドに特徴的なシグナル、および、ホルムアミドの幾何異性の平衡に由来する2 種のシグナルが観測されたことから、過去に報告されているmycalolide 類と類似した骨格をもっていることが示唆された。絶対配置は、化学分解および化学誘導体化をおこなうことで決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類のカイメンから、合計3種の新規活性物質を単離し、それぞれの構造研究を行った。Poecillastrin Hは非常に不安定な化合物であったが、注意深く研究を進めたおかげで、純粋な化合物の取得に成功した。また、miuramide類は、過去の研究で同一カイメンから得ることができなかった種類の活性化合物の単離に成功し、分子内に多数含まれる不斉炭素の立体配置をすべて決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
形態変化を指標としたスクリーニング法および単離研究は順調に進んでいるため、前年のまでの方針を踏襲する。
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Research Products
(6 results)