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2017 Fiscal Year Annual Research Report

脂質リガンド リゾホスファチジルセリンとその受容体の相互作用モジュール性の解明

Research Project

Project/Area Number 16J08059
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

佐山 美紗  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2016-04-22 – 2019-03-31
Keywordsリゾリン脂質 / G-タンパク質共役型受容体 / 脂質受容体 / リゾホスファチジルセリン / 受容体-リガンド複合体構造モデリング / 構造活性相関
Outline of Annual Research Achievements

リゾホスファチジルセリン(LysoPS)は、膜脂質から生成する生理活性脂質の一種であり、生体内で特異的な膜受容体(G-タンパク質共役型受容体)にアゴニストとして作用する。LysoPSは親水性のホスホセリン部位と、疎水性の脂肪酸部位、両者を連結するリンカーというモジュール構造からなる脂質分子である。申請者はこれまでにそれぞれのモジュール構造が受容体にどのように認識されているのかを分子レベルで解明するため、LysoPS誘導体とその受容体の複合体モデル構造を作成し、構造活性相関研究と組み合わせて複合体モデル構造の検証を行ってきた。本年度は、その成果を学術論文として発表した。
また、本年度は昨年度に引き続き、LysoPS誘導体-受容体複合体モデルの受容体外部位に着目して研究を進めた。LysoPS誘導体の疎水性末端は複合体モデルにおいて受容体外の細胞膜領域に位置すると予想された。そこで、誘導体疎水性末端に、親水性を高めるためのアミノ基など、リガンドの性質を変換するための官能基を長いリンカーを介して連結した誘導体の合成を行った。様々な官能基が連結可能な部位を知ることで、LysoPS受容体の機能解明に役立つツール開発がより合理的に行えると考えている。
さらに本年度は、受容体にリガンドが結合・解離する経路に着目した。低分子リガンドでは細胞外からリガンドが直接受容体に近づくと考えられているが、LysoPS誘導体-受容体複合体モデルでは、リガンドが一旦細胞膜に挿入された後、膜拡散を介して結合・解離する経路が可能であると考えられた。そこで、膜拡散による解離経路が可能であるか、東京工業大学のスパコン、TSUBAME3.0を用いてシミュレーションを行った。受容体-リガンド複合体構造からリガンドを引き抜く計算を行ったところ、実際にリガンドを引き抜くことができ、膜拡散を介した経路が可能であると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度、LysoPSの疎水性部に着目して行った誘導体の構造活性相関および、複合体モデル構造の検証に関する研究成果を学術論文として発表した。また、LysoPS誘導体の疎水性末端に着目した誘導体合成をさらに進めた。目的化合物は大きい分子であり合成ステップ数が多いが、誘導体合成を完了することができたため、おおむね順調と判断した。
LysoPS誘導体の受容体モデル構造からの引き抜きシミュレーションに関しては、本年度、LysoPS誘導体-受容体複合体モデルに対するシミュレーション手法がある程度確立でき、実際に受容体からのリガンド引き抜きが行えたことから、順調に進展しているとの評価とした。

Strategy for Future Research Activity

LysoPS誘導体-受容体複合体モデルを用いたリガンド引き抜きシミュレーションについては、今後、引き続き、様々な誘導体を用いてシミュレーションを行う予定である。また、必要であればシミュレーションをもとに新規リガンドの合成を行い、構造活性相関と組み合わせて議論を進める予定である。
LysoPSの構造は上述の通り、親水性部位と疎水性部位に分けられ、本年度は特にLysoPS誘導体の疎水性末端に着目して新規リガンドの合成を行った。親水性のホスホセリン部位に関しては、活性を保つ誘導体を得るのが難しい状況であるが、今後、ホスホセリン部位を変換したLysoPS誘導体の合成も進め、LysoPS誘導体-受容体複合体モデル構造の構築も合わせて親水性のモジュール構造がどのように受容体に認識されているか解明して行きたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Probing the Hydrophobic Binding Pocket of G-Protein-Coupled Lysophosphatidylserine Receptor GPR34/LPS1 by Docking-Aided Structure-Activity Analysis2017

    • Author(s)
      Sayama Misa、Inoue Asuka、Nakamura Sho、Jung Sejin、Ikubo Masaya、Otani Yuko、Uwamizu Akiharu、Kishi Takayuki、Makide Kumiko、Aoki Junken、Hirokawa Takatsugu、Ohwada Tomohiko
    • Journal Title

      Journal of Medicinal Chemistry

      Volume: 60 Pages: 6384~6399

    • DOI

      10.1021/acs.jmedchem.7b00693

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Structural insights into ligand recognition by the lysophosphatidic acid receptor LPA62017

    • Author(s)
      Taniguchi Reiya、Inoue Asuka、Sayama Misa、Uwamizu Akiharu、Yamashita Keitaro、Hirata Kunio、Yoshida Masahito、Tanaka Yoshiki、Kato Hideaki E.、Nakada-Nakura Yoshiko、Otani Yuko、Nishizawa Tomohiro、Doi Takayuki、Ohwada Tomohiko、Ishitani Ryuichiro、Aoki Junken、Nureki Osamu
    • Journal Title

      Nature

      Volume: 548 Pages: 356~360

    • DOI

      10.1038/nature23448

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 脂質リガンドのGPCRへの結合機構解明のための誘導体合成と計算科学の融合研究2018

    • Author(s)
      佐山美紗、井上飛鳥、青木淳賢、広川貴次、関嶋政和、尾谷優子、大和田智彦
    • Organizer
      日本薬学会第138年会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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