2016 Fiscal Year Annual Research Report
多極子と伝導電子の相互作用による新奇量子臨界現象の探究
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16J08116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 真規 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 四極子近藤効果 / 多極子モーメント / 重い電子系 / 量子臨界点 |
Outline of Annual Research Achievements |
局在多極子モーメントと伝導電子の混成による新規物理現象を実現しその性質を調べることは、物理的にも、高温超電導などの応用面でも非常に重要な課題である。そこで、スピンの自由度がなく、電気四極子モーメントが活性であるPrV2Al20単結晶の合成と精密な物性測定を行った。 PrV2Al20は、TQ = 0.7 Kの多極子転移点よりも高温側において電気抵抗率、磁化率、比熱において異常な状態となることが知られており、四極子近藤効果実現の可能性が指摘されていた。しかしながら、比熱の振る舞いは四極子近藤効果に対して理論的に予測される振る舞いから外れるなど、まだ四極子近藤効果が確立されるには至っていなかった。本年度の研究で我々は、磁気抵抗率、磁場中比熱、磁化率の測定結果を理論的予測と比較した。その結果およそ10 Kから25 K程度の領域で負の磁気抵抗率がみられ、理論的予測との詳細な比較によって四極子近藤効果が実現している可能性が高いことを示した。さらに、多極子転移点直上から10 K程度までの領域では正の磁気抵抗率に転じ、比熱、磁化率とともに従来の理論的予測から外れることが明らかになった。PrV2Al20は常圧下において多極子揺らぎの量子臨界点近傍にあり、今回の異常な正の磁気抵抗率は多極子モーメントの揺らぎにより有効質量が増大したことを反映している可能性が高いと分かった。 また、PrV2Al20は純良な結晶において2段の連続した多極子転移がみられるが、この起源は明らかにされていなかった。磁場中比熱測定の結果からエントロピーを求め、理論的予測と比較をした結果、PrV2Al20の強い多極子混成に起因するチャンネル秩序が実現している可能性があると分かった。 その他、共同研究において、PrV2Al20に対する静水圧の印加によって、多極子揺らぎに起因する重い電子超伝導の転移温度の上昇などが観測された。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)